口頭弁論の方式に関する事項は、調書の記載のみによつて証明できるから、証人尋問中、当事者本人の退廷を命じたことの違法をいう所論は、右調書にその旨の記載がない以上採用できない。
証人尋問中の当事者本人に対する退任命令の有無と口頭弁論調書の証明力
民訴法147条,民訴法298条
判旨
口頭弁論の方式に関する事項は、口頭弁論調書の記載によってのみ証明できる(民事訴訟法160条3項参照)。また、当事者が委託の事実を主張している以上、これに基づき判断することは弁論主義に反しない。
問題の所在(論点)
1. 口頭弁論調書に記載された出頭の事実に対し、記載と異なる事実を主張して争うことができるか。2. 当事者の主張がない事実を原審が認定し、弁論主義に違反したといえるか。
規範
1. 口頭弁論の方式に関する規定の遵守(民事訴訟法160条3項)は、口頭弁論調書の記載によってのみ証明される。調書の記載がある以上、それに反する事実を認定することはできない。2. 弁論主義の下では、裁判所は当事者が主張した事実の範囲内で判断を行うべきであり、当事者の主張に符合する事実認定は適法である。
重要事実
上告人(控訴人)の代表者Aが、証人尋問が行われた口頭弁論期日に出頭した旨が調書に記載されていた。しかし上告人は、尋問中に代表者が退延していたと主張した。また、原審が認定した「山林の払下げを受けることの委託」という事実について、上告人はこれを主張していないと争った。
あてはめ
1. 記録上の口頭弁論調書には、上告人代表者が出頭した旨が記載され、退延した旨の記載はない。口頭弁論の方式に関する事項は調書の記載のみが証明力を持つため、上告人の主張は採用できない。2. 記録によれば、上告人自身が「Eに対し、上告人のために山林の払下げを受けることを委託した」旨を主張していたことが明らかである。したがって、原審がこの事実に即して判断したことは、当事者の主張しない事実を判断したものとはいえない。
結論
本件上告は棄却される。調書の記載に反する方式の不備の主張や、自ら主張した事実に反する弁論主義違反の主張は認められない。
実務上の射程
民訴法160条3項の「調書の専別的証明力」の具体例として、当事者の出欠状況等の期日の態様を争う場面で活用できる。また、弁論主義違反を主張する上告理由に対し、当事者の主張を精査して排斥する実務的な判断枠組みを示している。
事件番号: 昭和34(オ)257 / 裁判年月日: 昭和36年12月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】取締役会の議事があった事実は、商法(現行会社法)上の議事録のみによって認定しなければならないものではなく、他の証拠によっても認定することが可能である。 第1 事案の概要:農機具売買契約の代金支払のために約束手形が振り出された事案において、その背景となる取締役会の議事の有無が争点となった。第一審判決…