判旨
上告人が主張する証人申請の事実や裁判官の不適切な言動を裏付ける証拠がない場合、事実誤認や違憲を理由とする上告は認められない。記録上存在しない事実を前提とする主張は、すべて失当として排斥される。
問題の所在(論点)
上告人が主張する証人申請の事実行為や裁判官の言動が記録上確認できない場合に、それらを前提とした違憲・違法の主張が認められるか。
規範
上告審において原判決の事実認定を争い、または特定の訴訟手続の欠落や裁判官の不適切な言動を理由として違法・違憲を主張するためには、訴訟記録上それらの事実が認められることを要する。客観的な資料や記録に基づく裏付けを欠く主張は、前提を欠くものとして失当となる。
重要事実
上告人は、原審において証人申請を行ったにもかかわらずこれが無視されたこと、および担当裁判官に不適切な言動があったことを理由に、憲法違反および訴訟手続の違法を主張して上告した。しかし、訴訟記録を精査しても、上告人が主張するような証人申請が行われた形跡は存在せず、また裁判官に当該言動があったと認めるべき資料も一切存在しなかった。
あてはめ
まず、上告人が主張する証人申請について、記録上その形跡が全く認められない。そのため、申請が却下された、あるいは無視されたという主張は前提を欠く。次に、裁判官の言動についても、これを裏付ける資料が皆無である。このように、上告の前提となる事実関係自体が認められない以上、その他の主張は単なる原審の事実認定を争うものに過ぎず、適法な上告理由にはあたらない。
結論
本件上告は棄却される。記録上の裏付けを欠く主張は、憲法違反をいう点を含め、すべて理由がない。
実務上の射程
訴訟手続の違法や憲法違反を主張する際、その前提となる手続的事実(証人申請の有無など)は訴訟記録によって証明されなければならない。事実誤認のみを争う上告の制限と、主張の前提事実の不備を理由とする上告棄却の典型例として捉えるべきである。
事件番号: 昭和34(オ)1112 / 裁判年月日: 昭和35年3月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判決において、間接事実や単なる証拠抗弁にすぎない事項については、これに対し格別の判断を示さなくとも判決に理由不備の違法は存しない。 第1 事案の概要:上告人は、原審の判断に対し、特定の事項について判断が示されていないとして理由不備または理由食い違いの違法を主張し、上告を申し立てた。しかし、上告人が…