判旨
取締役会の議事があった事実は、商法(現行会社法)上の議事録のみによって認定しなければならないものではなく、他の証拠によっても認定することが可能である。
問題の所在(論点)
取締役会の議事という会社法上の事実を認定するにあたり、商法(現行会社法)所定の取締役会議事録以外の証拠を用いることは許されるか。証拠の資格ないし採証法則の制限が問題となる。
規範
事実の認定は、証拠の取捨選択および判断を含む裁判官の自由な心証に委ねられる(自由心証主義)。会社法関係の事実であっても、特定の証拠(議事録等)が認定の唯一の法的手段となるものではなく、他の客観的証拠や証言等を総合して認定することができる。
重要事実
農機具売買契約の代金支払のために約束手形が振り出された事案において、その背景となる取締役会の議事の有無が争点となった。第一審判決に対し、原審(控訴審)は商法所定の取締役会議事録以外の証拠(証明書、証人の証言、本人尋問の結果および弁論の全趣旨)に基づき、当該議事の存在を認定した。これに対し上告人は、議事の認定は議事録によらなければならないと主張して採証法則違反を訴えた。
あてはめ
本件において、原審は取締役会議事録が提出されていない状況下で、甲号証としての証明書に加え、証人DおよびEの証言、さらには当事者本人尋問の結果を総合して議事の事実を認定している。記録に照らしても、これらの証拠の取捨選択や事実認定のプロセスに不合理な点は認められず、採証法則に違反するような事由は見当たらない。したがって、議事録の欠如のみをもって直ちに事実認定を否定することはできない。
結論
取締役会の議事については、必ずしも商法所定の議事録によって認定しなければならないものではない。原審の認定に違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
会社法上の書面(議事録等)が作成されていない、あるいは紛失している場合であっても、他の証拠により事実認定が可能であることを示す。実務上は、書面の存在が強く推定されるべきであるが、訴訟においては自由心証主義が優先されることを確認した判例として活用できる。
事件番号: 昭和34(オ)571 / 裁判年月日: 昭和36年11月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】会社の目的の範囲内といえるかは、定款の記載から客観的・抽象的に判断すべきであり、特定の個人に対する手形裏書も、定款上の目的に照らし客観的に必要であり得る限り、会社の目的の範囲に属する。 第1 事案の概要:上告会社において、代表者(A2)が、特定の個人(A1)のために、A1が振り出した手形に対して会…