判旨
実在しない会社の名義で行われた鉱業権設定の出願は、実在する別会社が後に商号変更を予定していた等の事情があっても、代表資格のない者が無関係に行ったものである限り、無効である。
問題の所在(論点)
実在しない会社の名義でなされた鉱業権設定出願について、実在する別会社が将来的にその名称に変更する予定があったという事情がある場合に、当該出願を有効なものとして認めることができるか。
規範
行政庁に対する権利設定の出願において、出願名義人が出願時において実在しない場合、その出願は原則として効力を有しない。また、実在する他社が将来的に当該名義に商号変更する意図があったとしても、出願行為自体が当該他社と無関係に、かつ代表権のない者によってなされたものであれば、当該他社による出願と認めることはできない。
重要事実
上告人らは、本件鉱業権設定の出願が「D鉱山株式会社」名義でなされた際、実在する「E産業株式会社」が将来的にD鉱山へと商号変更する予定であり、そのために行った出願であると主張した。しかし、実際にはE産業の代表資格のない者が、同社とは無関係に、当時存在していなかったD鉱山名義で出願を行っていた。
あてはめ
本件では、出願時に「D鉱山株式会社」という法人は存在していなかった。上告人はE産業による出願であると主張するが、原審の認定によれば、出願行為者はE産業の代表資格を有しておらず、同社とは無関係に不存在の会社名義で出願を行っている。したがって、商号変更や目的変更の議決が後に確定したとしても、出願時における主体性の欠如および名義の不実を補填することはできず、当該出願を有効なものと評価することはできない。
結論
実在しない会社名義でなされた本件出願は無効であり、上告を棄却する。
実務上の射程
事件番号: 昭和34(オ)554 / 裁判年月日: 昭和37年8月28日 / 結論: 棄却
会社が他に鉱業権を譲渡した場合に、右会社の債権者または株主であるからといつて、ただその一事により直ちに、同人が右鉱業権の譲受人に対し、その譲渡契約が無効であることを理由として右鉱業権が会社に属することの確認を求める利益を有するとはいえない。
行政上の出願行為における主体(名義人)の実在性と正当な代表権の重要性を示す。実在しない名称を用いた出願は、後に実体が整ったとしても当然に治癒されるものではないことを示唆しており、出願の有効性を争う場面で活用できる。
事件番号: 昭和36(オ)527 / 裁判年月日: 昭和39年12月4日 / 結論: 棄却
一 詐害行為取消訴訟において、被告とすべきものは、財産返還請求の相手方たる受益者または転得者のみで足り、債務者を共同被告とすべきではない(明治四四年三月二四日大審院判決、民録一七輯一一七頁、大正六年三月三一日大審院判決、民録二三輯五九六頁等)。 二 取消を請求する債権者は受益者または転得者の悪意を立証する必要がなく、受…
事件番号: 昭和32(オ)1135 / 裁判年月日: 昭和36年2月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】土地の所有権を有しない者は、当該土地に対する買収・売渡処分の無効確認を求める法律上の利益を有さず、また、所有権に基づかない登記抹消請求も認められない。 第1 事案の概要:上告人(原告)の先代は、本件土地を被上告人(被告)の先代に対し生前贈与していた。その後、自作農創設特別措置法に基づき、本件土地に…
事件番号: 昭和34(オ)726 / 裁判年月日: 昭和37年9月14日 / 結論: 破棄差戻
丙を代理人として、甲の先代から不動産を買い受けた乙が、丙にその所有権を移転する意思がないにも拘らず、たまたま右の売買契約書に買主名義が丙となつていた関係上、丙をして甲に対する所有権移転登記手続請求の訴を提起させ、その勝訴の確定判決に基づいて甲より丙に所有権移転登記を受けさせた場合には、民法第九四条第二項の法意に照し、乙…