会社が他に鉱業権を譲渡した場合に、右会社の債権者または株主であるからといつて、ただその一事により直ちに、同人が右鉱業権の譲受人に対し、その譲渡契約が無効であることを理由として右鉱業権が会社に属することの確認を求める利益を有するとはいえない。
他人間の法律関係について確認を求める利益がないとされた事例
民訴法225条
判旨
会社の債権者または株主であるという地位のみでは、当然には当該会社と第三者との間の契約の無効確認を求める訴えの利益を有しない。また、一当事者の自白による事実認定の効果は、当事者を異にする他の共同被告との関係には及ばない。
問題の所在(論点)
1. 会社の債権者または株主は、会社が第三者との間で締結した契約の無効確認を求める訴えの利益を有するか。 2. 共同訴訟において、一方の被告による自白の効力は、他の被告との関係における事実認定を拘束するか。
規範
確認の訴えが認められるためには、当該確認をすることが原告の権利または法的地位に現存する不安・危険を除去するために必要かつ適切であるという「確認の利益」を要する。また、共同訴訟において一当事者がなした自白の効力は、証拠共通の原則や弁論主義の適用範囲に鑑み、別個の当事者との関係における事実認定を直接拘束するものではない。
重要事実
上告人は、第一審被告であるD株式会社の債権者かつ株主であった。上告人は、D社と被上告人Bとの間になされた営業譲渡契約の無効確認を求めて提訴した。訴訟過程において、D社側は当該営業譲渡契約の存在を自白したが、被上告人Bらはこれを否認。第一審および原審は、上告人がD社の債権者・株主であることのみでは無効確認の利益がないとし、また、D社の自白はBらとの関係では事実認定を拘束しないとして、契約の存在自体を認めず請求を棄却した。
事件番号: 昭和54(オ)475 / 裁判年月日: 昭和56年4月24日 / 結論: 破棄差戻
取締役会の無効な決議により選任された代表取締役が会社の代表としてした行為については、会社は、商法二六二条の類推適用により、善意の第三者に対してその責に任ずべきものである。
あてはめ
1. 上告人はD社の債権者・株主の地位にあるが、会社が第三者と締結した契約によって、上告人自身の法的地位が直接左右される関係にはない。したがって、契約の効力を否定すべき特段の事情がない限り、確認の利益は認められない。 2. D社が営業譲渡の事実を認める自白をしたとしても、その効力はD社と上告人の間に限定される。当事者を異にする被上告人Bらとの関係においては、裁判所は自由な心証に基づき、D社の自白に拘束されることなく独立して事実を認定し得る。本件では証拠上、契約の事実は認められないと判断される。
結論
1. 債権者・株主であることのみでは、会社と第三者間の契約に関する無効確認の利益は認められない。 2. 共同被告の一方の自白は、他方の被告との関係での事実認定を拘束しない。上告棄却。
実務上の射程
確認の利益の法的性質(判決文からは不明だが一般に訴訟要件)と、共同訴訟における自白の相対的効力を示した。特に、会社法上の訴え以外の一般訴訟において、株主や債権者が会社の取引に介入することの制限を画している。答案上は、確認の利益の「対象の適切性」や「自己の権利義務への関連性」を論じる際、または民事訴訟法上の自白の効力範囲を論じる際に参照すべきである。
事件番号: 昭和34(オ)1280 / 裁判年月日: 昭和36年10月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不動産の二重譲渡において、第一の譲受人は、自らが未だ所有権移転登記を備えていない以上、第二の譲受人に対して所有権の取得を対抗することができない。これは、第二の譲受人の有する登記が有効であるか否かを問わない。 第1 事案の概要:上告人は、本件不動産を譲り受けたと主張しているが、未だその所有権取得の登…
事件番号: 昭和34(オ)341 / 裁判年月日: 昭和36年2月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】実在しない会社の名義で行われた鉱業権設定の出願は、実在する別会社が後に商号変更を予定していた等の事情があっても、代表資格のない者が無関係に行ったものである限り、無効である。 第1 事案の概要:上告人らは、本件鉱業権設定の出願が「D鉱山株式会社」名義でなされた際、実在する「E産業株式会社」が将来的に…
事件番号: 昭和36(オ)527 / 裁判年月日: 昭和39年12月4日 / 結論: 棄却
一 詐害行為取消訴訟において、被告とすべきものは、財産返還請求の相手方たる受益者または転得者のみで足り、債務者を共同被告とすべきではない(明治四四年三月二四日大審院判決、民録一七輯一一七頁、大正六年三月三一日大審院判決、民録二三輯五九六頁等)。 二 取消を請求する債権者は受益者または転得者の悪意を立証する必要がなく、受…
事件番号: 昭和32(オ)934 / 裁判年月日: 昭和35年3月31日 / 結論: 破棄自判
登記簿上不動産の所有名義人となつている国税滞納者に対する滞納処分として右不動産を公売処分に付した国が、登記の欠缺を主張するにつき正当の利益を有する第三者にあたらないとされる場合には、公売処分は、目的不動産の所有権を競落人に取得させる効果を生じないとする意味において、無効と解すべきである。