判旨
民法上の住所の意義に関し、生活の本拠をもって住所と定めるべきであり、特定の時点において当該地に住所を有していたか否かは、客観的な事実関係に基づいて判断される。
問題の所在(論点)
特定の時点において、ある場所が民法22条にいう「住所(生活の本拠)」に該当するか否かの判断基準が問題となる。
規範
民法上の「住所」(民法22条)とは、各人の生活の本拠を指す。生活の本拠であるか否かは、滞在の目的、居住の期間、職業、家族の状況等、諸般の客観的な事実関係を総合的に考慮して決すべきである。
重要事実
上告人は、昭和22年9月4日当時、a町に住所を有していたと主張したが、原審は事実関係に基づき、当時の上告人の生活実態がa町にはなかったと認定し、同町に住所を有していなかったと判断した。上告人はこれを不服として上告した。
あてはめ
本件判決文からは詳細な具体的事実は不明であるが、原審が認定した事実関係に基づけば、上告人が昭和22年9月4日当時、a町において生活の本拠となるような客観的な実態を有していたとは認められない。したがって、上告人の主張は独自の法律上の見解に基づくもの、あるいは事実認定の非難にすぎず、住所の認定に関する原審の判断は正当であると解される。
結論
上告人が昭和22年9月4日当時、a町に住所を有していなかったとする原審の判断は正当であり、上告は棄却されるべきである。
実務上の射程
住所の定義に関するリーディングケースとして、公職選挙法上の居住実態や民事訴訟法上の管轄権の有無を判断する際の基礎となる。答案上は、客観説(生活の本拠を客観的事実から認定する手法)を端的に示す際に引用する。
事件番号: 昭和34(オ)41 / 裁判年月日: 昭和35年4月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】生活の本拠である住所の有無は、居住を継続していたかという客観的な事実に基づき判断され、強制疎開等のやむを得ない事情による離脱であっても、長期間の不在があれば住所を失ったものとみなされる。 第1 事案の概要:上告人は元々日本国籍を有し、神戸市に居住していたが、昭和19年に戦時下の強制疎開のためやむを…
事件番号: 昭和30(オ)518 / 裁判年月日: 昭和33年2月28日 / 結論: 棄却
一 裁判官が、前審において口頭弁論に列席し、当事者の陳述・証拠の申出・証人の供述を聴き、証拠決定をし、その他訴訟指揮に関する決定に関与したというだけでは、民事訴訟法第三五条第六号にいう裁判官が前審の裁判に関与した場合に当らない。 二 遡及買収基準日当時における住所の所在の認定につき爾後の事実をしんしやくすることは違法で…
事件番号: 昭和41(行ツ)55 / 裁判年月日: 昭和41年12月22日 / 結論: 棄却
妻子とともに甲町に居住するが、夫婦で乙市(甲町に隣接)において飲食店を経営し、かつ自身は同市における共産党の党活動に従事している者が、昭和三八年四月初め単身乙市の知人方に同居し、同所に住民登録をし、同所に寝起し、従前どおり飲食店の仕入や党活動を続け、同年九月さらに乙市内で転居し甲町から妻子を呼び寄せて同居するに至つてい…