判旨
上告理由が原審の証拠取捨選択を非難するものにすぎない場合、原判決の認定が特に不合理でない限り、上告は棄却される。証拠の評価は原則として事実審の専権事項である。
問題の所在(論点)
民事訴訟法上の上告理由において、事実審の専権事項である証拠の取捨選択および事実認定の妥当性を争うことができるか。また、原審の認定が不合理といえるかが問題となる。
規範
事実の認定およびそのための証拠の取捨選択は、特段の事情がない限り、事実審裁判所の専権に属する。最高裁判所は、原審の認定が論理則や経験則に照らして特に不合理であると認められない限り、これを維持する。
重要事実
上告人は、原判決が依拠した証拠の取捨選択および事実認定に不服があるとして上告を申し立てた。しかし、提示された上告理由は、原審が行った証拠の評価を争うものであった。
あてはめ
本件において、原判決が提示した証拠に基づき事実を認定した過程を検討するに、それが特に不合理であると解すべき事情は認められない。上告人の主張は、結局のところ、原審の裁量に属する証拠の評価を独自の見解に基づき批判するにとどまるものである。
結論
原判決の認定に不合理な点はなく、上告理由は証拠の取捨選択を非難するにすぎないため、本件上告は棄却される。
実務上の射程
民事訴訟における上告審の役割を再確認する判例である。答案上では、事実誤認を理由に上告する場合であっても、それが単なる証拠評価の不服にとどまる限り、裁量権の逸脱・濫用などの特段の事情がない限り上告は認められないことを示す際に引用できる。
事件番号: 昭和55(行ツ)32 / 裁判年月日: 昭和55年8月26日 / 結論: 棄却
「E」とその他の文字部分との結合からなる各種商標が登録されて使用されている状況のもとでは、化粧品、香料等を指定商品とする商標「D」と「E」とは類似しないものと認むべきである。