嫌忌される施設の設置、運営による損失が不法行為に基づき賠償すべき損害にあたるか否かは、被侵害利益ないし権利の性質、程度、施設の社会的有用性、損害の発生を防止、軽減すべき処置をとりうる可能性、施設設置の意図、設置場所等諸般の事情を総合して、社会通念上受忍すべき限度をこえるか否かによつて決められるべきであるところ、本件火葬場設置の必要性、それが最高の内容、規模のものであること、本件火葬場の設置された地域にもと民間の火葬場のあつたこと、被上告人市が火葬場周辺の環境整備に配慮していること等によると、上告人は本件火葬場の設置、運営による地価値下りの損害を受忍すべきであつて、その損害賠償を求めることはできない。
火葬場の設置、運営により地価の値下り等の損害を受けたとする国家賠償法一条、二条による損害賠償請求が棄却された事例
国家賠償法1条1項,国家賠償法2条1項
判旨
事実認定および証拠の取捨選択は、原則として原審の専権に属する事項であり、適法な証拠に基づき正当な判断過程を経ている限り、上告理由とはならない。
問題の所在(論点)
原審による事実認定および証拠の取捨選択の当否、並びにそれらが上告理由となり得るか(上告理由の適格性)。
規範
事実認定および証拠の取捨選択は、事実審たる裁判所の専権に属する。最高裁判所は法律審であり、原判決の認定判断が証拠に照らして正当として是認でき、かつその判断過程に違法が認められない場合には、当該認定を維持すべきである。
重要事実
上告人は、原判決が行った事実認定や証拠の取捨選択に誤りがある(証拠の不当な評価、または必要な証拠の無視等)として上告を申し立てた。なお、事案の具体的な背景事実に係る詳細は、本判決文からは不明である。
あてはめ
原審の認定判断は、原判決が掲示する証拠に照らして正当として是認できる。また、その認定に至る判断過程に違法な点は認められない。上告人の主張は、本来的には事実審の専権に属する事項(証拠の評価等)を非難するものにすぎず、特段の事情がない限り、上告理由として採用することはできない。
結論
本件上告は棄却されるべきである。
実務上の射程
民事訴訟における法律審(上告審)の役割を再確認する事例である。答案作成においては、単なる事実関係の争いを上告理由として論じるのではなく、憲法違反や重大な手続違背等の法的瑕疵を特定する必要があることを示す指針となる。
事件番号: 昭和30(オ)97 / 裁判年月日: 昭和31年9月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が原判決の証拠の採否や事実認定を非難するにとどまる場合は、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、原判決における証拠の採否および事実認定に誤りがあるとして上告を申し立てた。 第2 問題の所在(論点):原審の証拠採否や事実認定を非難する主張が、適法な上告理由に該当するか。…