判旨
招集権限のない者によって招集された総会決議は法律上存在しないものと解され、その不存在は訴えによらずとも抗弁をもって主張することができる。
問題の所在(論点)
招集権限のない者によって招集された総会決議の効力を、訴えの手続によらずに抗弁として主張することができるか。また、招集権限の欠如が「決議の不存在」にあたるか。
規範
株主総会決議取消の訴えや決議無効確認の訴え(会社法830条、831条等参照)と異なり、総会の不存在(決議の不存在)は当然かつ絶対的に無効である。したがって、無効確認を求める利益がある限り、何人も、いかなる時期においても、訴えのみならず抗弁としてもその不存在を主張することができる。特に、招集権限のない者による招集に基づく総会は、単なる手続の瑕疵を超え、法律上存在しないものと解するのが相当である。
重要事実
上告人である中小企業等協同組合において、Dが代表者として総会を招集し、決議に基づき代表者として登記された。しかし、原審の認定によれば、当該総会の招集権限はDにはなく、昭和31年4月5日に開催されたとされる本件組合総会は法律上存在しないものであった。上告人側は、総会決議に基づき登記がなされている以上、決議の無効は訴えによってのみ主張すべきであり、抗弁として主張することは許されないと争った。
あてはめ
本件では、総会を招集したDにそもそも招集権限がなかったことが確定されている。単なる招集手続の瑕疵であれば決議取消の訴え等の対象となり得るが、権限なき者による招集は、総会そのものが法律上存在しない「不存在」に該当する。不存在である以上、決議事項について登記がなされているか否かによってその性質が変わることはない。したがって、相手方は訴訟において抗弁として当該決議の不存在(無効)を主張することが認められる。
結論
招集権限のない者の招集にかかる総会決議は不存在であり、その不存在は抗弁をもって主張し得る。
事件番号: 昭和34(オ)960 / 裁判年月日: 昭和35年12月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不動産の共有者は、保存行為として、共有不動産について無断でなされた不実の登記の抹消を単独で請求することができる。 第1 事案の概要:上告人らは、本件家屋が亡父Dの新築所有にかかり、その死亡により共同相続人である上告人ら両名の共有に属するものであると主張した。これに対し、被上告人B1は無断で自己名義…
実務上の射程
会社法上の「株主総会決議不存在確認の訴え」(830条1項)に関する重要判例である。招集権限を欠く者による招集(例:取締役会決議を経ていない取締役による招集等)は原則として「不存在」事由となるため、訴えの期間制限(831条1項)を受けず、また本件のように別訴を提起せずとも直接抗弁として主張できる点に実務上の意義がある。
事件番号: 昭和44(オ)41 / 裁判年月日: 昭和46年12月17日 / 結論: 棄却
消費生活協同組合法による協同組合の総会の議決または選挙が当然に無効であるかまたは不存在である場合においては、同法九六条所定の行政庁による取消の手続を経ていないでも、裁判所は、訴訟における前提問題として、右議決または選挙の無効または不存在の判断をすることができる。
事件番号: 昭和34(オ)1280 / 裁判年月日: 昭和36年10月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不動産の二重譲渡において、第一の譲受人は、自らが未だ所有権移転登記を備えていない以上、第二の譲受人に対して所有権の取得を対抗することができない。これは、第二の譲受人の有する登記が有効であるか否かを問わない。 第1 事案の概要:上告人は、本件不動産を譲り受けたと主張しているが、未だその所有権取得の登…
事件番号: 昭和32(ヤ)7 / 裁判年月日: 昭和32年12月20日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】再審の訴えにおいて、主張される事実が民事訴訟法(旧法)420条1項所定の再審事由のいずれにも該当しない場合には、当該再審の訴えは不適法として却下される。 第1 事案の概要:再審原告は、最高裁判所の確定判決に対し、別紙記載(本判決文上は省略)の事由を根拠として再審の訴えを提起した。再審原告が主張した…