判旨
口頭弁論期日においてなされた請求原因事実の自白は、有効に取り消されない限り裁判所を拘束する。また、公務を理由とする期日変更申請がなされても、相当な事由の存在が認められない限り、期日変更を認めずに弁論を終結させることは適法である。
問題の所在(論点)
1. 第一審でなされた請求原因事実に対する裁判上の自白の撤回・取消しが認められるか。 2. 「公務」を理由とする期日変更申請を却下して弁論を終結させた裁判所の措置は、裁量の逸脱・濫用として違法となるか(民事訴訟法152条[現93条]の要件充足性)。
規範
1. 裁判上の自白が成立した場合、当事者はこれを自由に撤回できず、裁判所もその事実に拘束される。自白の取消しが認められるためには、刑事上罰すべき他人の行為によって自白がなされた場合や、自白の内容が真実に反しかつ錯誤に基づくものであること等の特段の事情を要する。 2. 期日の変更(民事訴訟法152条、現行93条)は「顕著な事由」がある場合に限られ、裁判所の裁量に属する。
重要事実
上告組合(被告)は、第一審の第4回口頭弁論期日において、本訴の各請求原因事実を自白した。その後、原審(控訴審)の第1回口頭弁論期日の4日前に、上告組合の代表者は「公務」を理由として期日変更申請書を提出したが、原審はこれを認めずに弁論を終結させた。上告人は、自白の効力および期日変更を認めなかった原審の措置の違憲・違法を主張して上告した。
あてはめ
1. 自白について、記録上、上告組合が第一審において請求原因事実を自白したことは明らかであり、その後、その自白を有効に取り消したと認めるに足りる資料は存在しない。したがって、自白の拘束力は維持される。 2. 期日変更について、代表者が主張する「公務」の内容を具体的に裏付け、民訴法所定の変更事由(顕著な事由)の存在を認めるに足りる資料が提出されていない。単なる申請書の提出のみでは、裁判所が期日変更を許さずに弁論を終結させたとしても、手続上の違法はない。
結論
自白の取消しを認めず、かつ期日変更申請を認めずに弁論を終結させた原審の判断に違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
裁判上の自白の撤回制限効および期日変更申請における「顕著な事由」の疎明の重要性を確認する事例である。実務上、公務等の抽象的な理由のみでは期日変更は認められず、資料による裏付けを欠く場合は裁判所の裁量による弁論終結が正当化されることを示している。
事件番号: 昭和54(オ)296 / 裁判年月日: 昭和54年9月25日 / 結論: 棄却
定期預金の期限前払戻を請求した者が、預金証書と届出印鑑を所持しているほか、年末資金として預金の一部を必要とすることと残額を再び預け入れることを申し入れ、払戻請求書に預金者の住所をほぼ正確に記載したなど原判示の事実関係のもとでは、払戻しをした銀行の係員に過失がなく、払戻は債権の準占有者に対する弁済として有効である。