判旨
組合名義の使用を包括的に承認していた者が、その名義を用いて振り出された手形について、支払義務を負うと判断された事例である。
問題の所在(論点)
組合から名義使用を許諾されていた者が、組合名義で手形を振り出した場合、組合は振出人としての責任を負うか。名義使用の許諾の範囲と手形振出行為の帰属が問題となる。
規範
特定の者が他人に対し、自己の名義を用いて取引を行うことを包括的に承認している場合には、その名義を用いてなされた法律行為(手形行為等)の効果は、原則として名義人に帰属し、名義人はその責任を負う。
重要事実
訴外Dは、上告人(組合)から、巾着網漁業に必要な取引について上告人組合名義を使用することを承認されていた。Dはこの名義を用いて本件手形を振り出した。被上告人(原告)が本件手形を取得した際、悪意であったとの立証はなされていない。
あてはめ
Dは組合から漁業に必要な取引について組合名義を使用することを承認されていた。手形の振り出しもかかる取引の一環として行われたものであり、名義使用の許諾範囲に含まれる。したがって、当該名義による意思表示の効果は組合に帰属する。また、相手方が悪意である等の特段の事情も認められないため、組合は支払義務を免れない。
結論
上告人(組合)は、本件手形の支払義務を負う。本件上告は棄却される。
実務上の射程
名義貸与責任や代理権授与の表示(民法109条等)に類似する事案において、包括的な名義使用の許諾があった場合に、その名義で行われた行為の責任が名義人に帰属することを示す材料となる。手形法上の責任のみならず、一般的な名義貸しの理を検討する際の参考となる。
事件番号: 昭和34(オ)58 / 裁判年月日: 昭和35年10月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】無権代理人により作成された署名代理形式の手形行為について、本人が後日これを追認した場合には、当該手形行為は有効な手形行為として本人に対し効力を生ずる。 第1 事案の概要:上告人(本人)の知人であるDは、上告人から預かっていた印鑑を使用し、本件手形の振出人欄に上告人の氏名を記載して押印した(署名代理…