判旨
弁護士会の退会命令に対する異議申立を棄却した日本弁護士連合会の決定は、原審認定の事情に照らし適法であり、決定後の会費納入の事実はその適否の判断に影響しない。
問題の所在(論点)
弁護士会が発した退会命令に対する異議申立を棄却した決定の取消訴訟において、決定後になされた会費納入の事実が決定の適否を判断する際のしんしゃく材料となるか(処分の適法性判断の基準時)。
規範
弁護士会による退会命令処分およびそれに対する異議申立棄却決定の適否を判断するにあたっては、処分・決定当時の事情を基礎とすべきであり、その後の後発的事情(義務履行等)は判断を左右しない。
重要事実
東京弁護士会に所属する弁護士である上告人が、同会から退会命令を受けた。上告人はこの命令に対し、被上告人である日本弁護士連合会に異議を申し立てたが、同連合会はこれを棄却する決定を下した。上告人は当該棄却決定の取消しを求めて提訴したが、その際、決定後の事情として会費の納入があったことを主張した。
あてはめ
原審が認定した諸般の事情(具体的な内容は判決文からは不明)に照らせば、日本弁護士連合会による異議申立棄却決定に違法な点はない。上告人は決定後に会費を納入しているが、行政処分の適法性は原則として処分時を基準に判断されるべきであり、本件においても当該決定の適否を判断するにつき、その後の事情である会費納入の事実はしんしゃくすべきではないと解される。
結論
本件異議申立棄却決定は適法であり、決定後の会費納入は結論を左右しないため、上告人の請求は棄却されるべきである。
実務上の射程
弁護士自治に基づく懲戒処分等の適法性判断において、処分後の事情変更(事後的な義務履行など)が処分の効力に影響を及ぼさないことを示す一事例として機能する。
事件番号: 昭和33(オ)831 / 裁判年月日: 昭和34年12月4日 / 結論: 棄却
弁護士会または日本弁護士連合会が弁護士を懲戒した後に、懲戒請求者と被請求弁護士との間に示談が成立したとしても、かかる事実は、懲戒処分の当否とは関係がなく、懲戒処分の当否を争う訴訟の裁判に際し斟酌すべき事実ではない。
事件番号: 昭和33(オ)1016 / 裁判年月日: 昭和34年4月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】弁護士法56条1項にいう「品位を失うべき非行」とは、弁護士会の秩序及び信用を害する行為を包含し、情状が重い場合には除名処分とすることも相当である。 第1 事案の概要:上告人(弁護士)は、複数の事実(イ、ロ、ハ)に基づき懲戒請求を受けた。具体的には、依頼者(D)との間での報酬金返還等を巡るトラブルや…
事件番号: 昭和49(行ツ)52 / 裁判年月日: 昭和49年11月8日 / 結論: 棄却
弁護士懲戒請求者の異議申出を棄却した日本弁護士連合会の裁決に対し、右請求者が提起した取消訴訟は、不適法である。