日本弁護士連合会の懲戒委員会は弁護士懲戒処分に対する不服の訴訟事件において民訴第三五条第六号の前審にあたらない。
日本弁護士連合会の懲戒委員会は弁護士懲戒処分に対する不服の訴訟事件の前審か。
弁護士法59条,民訴法35条6号
判旨
日本弁護士連合会の懲戒委員会は、民事訴訟法における裁判官の除斥事由である「前審」には該当しない。したがって、懲戒委員として関与した裁判官がその後の裁判に関与しても、再審事由にはあたらない。
問題の所在(論点)
日本弁護士連合会の懲戒委員会における審理が、民事訴訟法上の除斥事由である「前審」に該当するか。
規範
民事訴訟法における除斥事由としての「前審」とは、下級裁判所において裁判の基礎となる事実認定や法律判断を行う裁判手続を指し、行政手続やこれに準ずる懲戒手続は含まれない。
重要事実
再審原告は、原判決に関与した裁判官が、以前に日本弁護士連合会の懲戒委員として再審原告の懲戒審理に関与していたと主張した。これが民訴法35条6号(当時、現23条6号)の除斥事由に該当し、同法420条2号(当時、現338条1項2号)の再審事由にあたると訴えた事案である。
あてはめ
事件番号: 昭和33(オ)831 / 裁判年月日: 昭和34年12月4日 / 結論: 棄却
弁護士会または日本弁護士連合会が弁護士を懲戒した後に、懲戒請求者と被請求弁護士との間に示談が成立したとしても、かかる事実は、懲戒処分の当否とは関係がなく、懲戒処分の当否を争う訴訟の裁判に際し斟酌すべき事実ではない。
日本弁護士連合会の懲戒委員会は、弁護士法に基づく自治的な懲戒手続を行う機関であり、裁判所が行う裁判手続ではない。民訴法が「前審」において関与した裁判官を排斥する趣旨は、同一事件について予断を持って審判することを防ぎ、審級制を維持することにあるが、行政的な懲戒委員会での関与はこの「前審」の定義に含まれないと解される。なお、本件では事実として当該裁判官は懲戒委員ですらなかった。
結論
懲戒委員会は「前審」にあたらないため、再審事由は認められず、再審の訴えは却下される。
実務上の射程
除斥事由における「前審」の範囲が裁判手続に限られることを示す重要な判例である。答案上では、行政処分や仲裁、懲戒手続といった裁判外の手続に関与した者が裁判官として関与した場合でも、当然には除斥事由(23条6号)に該当しないことを論述する際の根拠となる。
事件番号: 昭和33(オ)578 / 裁判年月日: 昭和34年5月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】弁護士会の退会命令に対する異議申立を棄却した日本弁護士連合会の決定は、原審認定の事情に照らし適法であり、決定後の会費納入の事実はその適否の判断に影響しない。 第1 事案の概要:東京弁護士会に所属する弁護士である上告人が、同会から退会命令を受けた。上告人はこの命令に対し、被上告人である日本弁護士連合…
事件番号: 昭和33(オ)1016 / 裁判年月日: 昭和34年4月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】弁護士法56条1項にいう「品位を失うべき非行」とは、弁護士会の秩序及び信用を害する行為を包含し、情状が重い場合には除名処分とすることも相当である。 第1 事案の概要:上告人(弁護士)は、複数の事実(イ、ロ、ハ)に基づき懲戒請求を受けた。具体的には、依頼者(D)との間での報酬金返還等を巡るトラブルや…
事件番号: 昭和37(オ)1455 / 裁判年月日: 昭和38年10月18日 / 結論: 棄却
弁護士懲戒請求に対し弁護士会が懲戒しないことについての異議申立をB連合会が棄却した場合に、右懲戒請求者の再審請求に対し右連合会が再審をしないことについての不服の訴は許されない。