民訴第三五条第六号の「裁判官が不服ヲ申立テラレタル前審ノ裁判ニ関与シタルトキ」という規定は、裁判所書記官には準用されないと解すべきである。
民訴法第四四条による第三五条第六号の準用の有無。
民訴法35条6号,民訴法44条
判旨
裁判所書記官については、民事訴訟法上の除斥原因のうち「裁判官が不服を申し立てられた前審の裁判に関与したとき」の規定は準用されない。
問題の所在(論点)
裁判所書記官の除斥原因の範囲が問題となる。具体的には、裁判官の除斥事由である「前審の裁判に関与したとき」という規定が、裁判所書記官について準用されるか。
規範
民事訴訟法上の「裁判に関与する」とは、裁判の評決に加わることを意味する。裁判所書記官は、その職務の性質上、いかなる場合であっても裁判の評決に加わることはないため、裁判官の除斥事由である「前審の裁判への関与」に関する規定は、裁判所書記官には準用されない。
重要事実
上告人は、原審の裁判に関与した裁判所書記官が、不服を申し立てられた前審の裁判にも関与していたことを理由として、民事訴訟法第44条(旧法下。現行法第26条に相当)に基づき、同第35条第6号(現行法第23条第1項第6号)の除斥事由が準用されるべきであると主張して上告した。
あてはめ
裁判所書記官は、裁判の調書の作成や判決の送達などの職務を担うが、裁判内容を決定する合議(評決)に加わる権限はない。したがって、前審の職務に従事していたとしても、それは「評決に加わる」という意味での裁判への関与には当たらない。ゆえに、裁判の公正を担保するための除斥制度において、裁判官と同一の基準(前審関与)を裁判所書記官に適用する必要性はないと解される。
結論
裁判所書記官について、前審の裁判に関与したことを理由とする除斥は認められない。
実務上の射程
裁判所書記官の除斥・忌避に関する答案作成において、裁判官との職務権限の違い(評決権の有無)を理由として、除斥事由の準用範囲が限定されることを示す論拠として活用できる。
事件番号: 昭和31(オ)553 / 裁判年月日: 昭和32年6月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告審において原審の証拠の取捨判断及び事実認定の適否を争うことは、単なる事実誤認の主張にすぎず、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人が、原審における証拠資料の評価や事実認定のプロセスに不服があるとして、過去の判例を引用しつつ原判決の取消しを求めて上告した事案。 第2 問題の所在…