判旨
国税徴収法に基づき公売に付しても買受人がない物件を随意契約により売却する場合において、一度の公売実施で買受希望者がなかったことをもって直ちに随意契約へ移行することは適法である。
問題の所在(論点)
国税徴収法上の随意契約の要件である「公売に付するも買受人なきとき」に該当するためには、複数回の公売実施が必要か。一度の公売において入札者がなかった事実をもって、直ちに当該要件を充たすと認めてよいかが問題となる。
規範
旧国税徴収法25条2項(現行法109条1項等に相当)にいう「公売に付するも買受人なき」物件とは、適法な公売手続を経たにもかかわらず入札者が現れなかった物件を指す。この要件を充たすか否かの判断において、公売の回数は必ずしも複数回であることを要せず、一度の公売不調であっても合理的な理由があれば足りる。
重要事実
課税当局が本件物件について公売を実施したが、昭和30年11月28日の公売期日において入札人が現れなかったため、期日が閉鎖された。その後、当局は本件物件が「公売に付するも買受人なき物件」に該当すると判断し、公売に代えて随意契約による売却処分を行った。上告人は、一度の公売不調のみで随意契約に移行したこと等の違法を主張して争った。
あてはめ
本件では、昭和30年11月28日に適法に公売が実施されたが、入札人が全く現れず、期日が閉鎖されるに至っている。この事実は、客観的に公売による売却が困難であることを示している。したがって、唯一度の公売実施であっても、その結果として買受希望者がいなかったことが確定した以上、当該物件は「公売に付するも買受人なき」ものと認められ、随意契約へ移行する前提条件を具備していると評価される。
結論
一度の公売において買受希望者がなかったことをもって随意契約により売却処分に付したことは適法であり、上告を棄却する。
実務上の射程
行政上の強制執行における売却手続において、公売原則の例外たる随意契約への移行要件を緩やかに解釈したもの。実務上は、一度の入札不調で直ちに随意契約とする判断の合理性を肯定する根拠として引用可能である。
事件番号: 昭和31(オ)592 / 裁判年月日: 昭和33年5月24日 / 結論: 棄却
一 国税局長に異議申立書と題する書面の提出があつても、右書面が、公売財産の所有者から提出され、不服のある処分が具体的に明示され、不服の理由も記載されている以上、国税徴収法第三一条の二による再調査請求があつたものと認めるべきである 二 審査決定で却下の再調査決定を是認するとともに、原処分の適否をも審理判断した場合に、裁判…
事件番号: 昭和29(オ)639 / 裁判年月日: 昭和31年3月30日 / 結論: 棄却
一 原審の認定する事情(原判決理由参照)の下では、地主は、遡及買収の基準日当時やむを得ない事由のため一時的に不在であつたが、右事由のやみ次第元の住所への復帰が期待される状況にあつたものと認むべきであるから、その当時右地主に自作農創設特別措置法施行令第一条第四号のその他の事由があつたものと認むべきである。 二 地主に自作…
事件番号: 昭和33(オ)1084 / 裁判年月日: 昭和35年11月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自作農創設特別措置法における農地買収令書の交付に代わる公告の適法性は、農地買収の急速遂行の必要性や当時の交通事情等を総合考慮して判断すべきであり、知事が相当な調査を尽くしても所有者の住所が判明しない場合には、公告をもって令書交付に代えることができる。 第1 事案の概要:上告人はブラジルに在住してい…