判旨
複数の手形金債権のうち一部を反訴で請求する場合、特段の事情がない限り、満期日の早い債権から順次充当して請求したものと解するのが相当である。
問題の所在(論点)
複数の同種債権(手形金債権)が存在する場合において、その合計額の一部を請求する際、どの債権が請求の対象であるかという「請求の特定」が認められるか。
規範
一部請求における対象債権の特定に関し、複数の同種債権が存在する場合、特段の事情がない限り、時系列上先に発生(または弁済期が到来)している債権から順次当該請求額に達するまで充当されるものと解する。
重要事実
上告人と被上告人の間の綿の売買取引に関連し、被上告人が反訴として手形金の支払を請求した。対象となる手形は、(1)昭和29年6月29日振出、金額257,500円、満期同年8月13日の約束手形、および(2)同年7月13日振出、金額257,500円、満期同年8月25日の約束手形の2通であった。被上告人は、これら合計515,000円の債権のうち、469,300円を反訴請求額として一部請求を行ったが、上告人は請求の内容が特定を欠き違法であると主張して上告した。
あてはめ
本件における反訴請求額469,300円の特定について検討するに、対象となる2通の手形のうち、(1)の手形は満期日が8月13日であり、(2)の手形は満期日が8月25日である。この場合、まず満期日の早い(1)の手形金額257,500円の全額を請求の対象とし、残額の211,800円については、次に満期日が到来する(2)の手形金額の一部を請求したものと解するのが合理的である。このように解釈することで、請求範囲は客観的に特定されており、特定を欠くとの違法は認められない。
結論
本件反訴請求は特定されており、原判決に違法はない。上告棄却。
実務上の射程
一部請求において対象債権が複数ある場合の特定方法として、実務上「発生順・満期順」という合理的な解釈基準を示したもの。訴状において明示的な指定がない場合でも、客観的な順序によって特定を維持できるとする射程を有する。
事件番号: 昭和33(オ)305 / 裁判年月日: 昭和33年12月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が原判決の証拠取捨や事実認定の非難に帰する場合、それは適法な上告理由とは認められない。 第1 事案の概要:上告人らは、原判決が行った証拠の取捨、判断、および事実の認定に誤りがあるとして上告を申し立てた。 第2 問題の所在(論点):事実認定や証拠の取捨選択に対する不服申し立てが、適法な上告理…