判旨
解雇が不当な動機・目的に基づくものであるとの主張に対し、裁判所が適法に確定した事実関係に基づき、客観的合理性や社会的相当性を欠く事情が認められない場合には、解雇は有効とされる。
問題の所在(論点)
使用者が行った解雇が、労働者の主張する不当な動機や事実に基づかないものである場合、解雇権の濫用にあたるか。また、原審が確定した事実関係を覆して解雇の無効を認めることができるか。
規範
解雇の有効性については、解雇権の濫用(労働契約法16条参照)の成否が問題となる。具体的には、解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、権利の濫用として無効となる。判断に際しては、解雇の理由となった事実の有無、解雇の動機・目的、および手段・手続の妥当性を総合的に考慮すべきである。
重要事実
上告人は、本件解雇が特定の行為や不当な動機に基づいて行われたものであると主張し、その無効を訴えた。しかし、原審(控訴審)は、上告人が主張するような事実関係や動機に基づく解雇であることを否定し、解雇の正当性を基礎づける事実関係を適法に認定した。上告人はこれを不服として、憲法違反および事実誤認を理由に上告した。
あてはめ
最高裁判所は、本件解雇が上告人の主張するような行為や動機に基づいたものであるという点は「原審の認めないところ」であると指摘した。すなわち、上告人の主張は原審が確定した事実に反する前提に立つものであり、憲法違反の主張も実質的には事実認定の不当を訴えるものに過ぎない。原審の認定した事実に照らせば、解雇を無効とするに足りる客観的理由の欠如や相当性の逸脱は認められない。
結論
本件上告を棄却する。原審が適法に認定した事実に基づき、解雇を有効とした判断は維持される。
実務上の射程
本判決は極めて簡潔な決定であるが、解雇権濫用論の事案において、解雇の動機や目的といった主観的要素の主張が、原審の認定した客観的事実によって否定される場合の訴訟上の取り扱いを示している。答案上は、解雇の有効性を論じる際に、具体的な解雇理由(事実)の有無をまず確定し、その上で動機の不当性等の個別事情を検討するという基本的な思考プロセスを確認する素材として機能する。
事件番号: 昭和33(オ)1047 / 裁判年月日: 昭和35年12月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分の無効確認請求に取消請求が含まれるか否かについて、出訴期間内であれば含まれると解すべきであるが、出訴期間経過後に無効確認の形で出訴した場合は当然に含まれるとはいえない。 第1 事案の概要:上告人らは、被上告人委員会が行った処分に対し、その無効確認を求めて出訴した。上告人A1については適格性…