不当労働行為が成立しないとする裁判所の判断としては、解雇が正当な組合活動を理由とするものでない旨を証拠によつて認定判示すれば足り必らずしも、解雇が正当な組合活動以外のいかなる事由によつてなされたものであるかを判示しなければならないものではない。
不当労働行為が成立しないとする場合の判示方法。
労働組合法7条
判旨
企業における従業員の言論・政治活動が、企業の運営上必要とされる制限を越え、使用者の権利侵害や義務違背の具体的危険をもたらす場合、これを理由とする解雇は正当である。また、解雇通告後に退職金等を異議なく受領し、長期間効力を争わなかった場合には、解雇を争わない旨の黙示の合意が成立したとみなされる。
問題の所在(論点)
1. 職場内での政治的言論・文書活動を理由とする解雇の有効性。2. 解雇通告後の退職金受領および長期間の放置が、解雇の効力を争う権利に与える影響(黙示の合意または信義則)。3. 不当労働行為の認定における判断の程度。
規範
1. 憲法14条、19条等の理念は民法90条の公序良俗を通じて私法関係を規律するが、思想・信条の自由も外部に表現され他人の権利や社会秩序を侵害する現実の危険がある場合には制限を受ける。2. 労働者が職場において業務運営上必要な範囲内で従業員に課される制限や義務に服することは当然であり、これに違背する活動は解雇事由となり得る。3. 不当労働行為の成否については、解雇が正当な組合活動を理由とするものでないことが認定されれば足り、他の事由を逐一具体的に確定する必要はない。
重要事実
被上告会社(三菱樹脂)は、いわゆるレッド・パージの際、整理基準(使用者の権利侵害や義務違背の明白な危険がある事実等)を定め、これに該当するとして上告人らを解雇した。上告人らの活動には、職場内での文書活動や政治活動が含まれていた。一部の者は解雇通告後に退職願を提出し退職金を受領し、他の者も通告から約2年数ヶ月間、解雇の効力を争うことなく退職金等を供託・受領した後に提訴した。
あてはめ
1. 上告人らの言論・文書活動は、全体として正当な組合活動の枠を越え、就業規則を具体化した整理基準に該当する権利侵害・義務違背の事実が認められるため、解雇は有効である。2. 退職願を提出し異議なく退職金を受領した行為は、会社側の合意解約の申入れに対する承諾と解される。3. 期間内に退職願を出さなかった者についても、解雇承認に近い状況(組合の支持喪失等)下で退職金を受領し、2年以上にわたり争わなかった事実は、解雇の効力に異議を述べない旨の黙示の合意が成立した、あるいは無効主張が信義則に反すると評価される。
結論
本件解雇および合意解約は有効であり、不当労働行為にも当たらない。上告人らが解雇の無効を主張することは許されない。
実務上の射程
職場内での政治活動が企業の正当な運営を阻害する場合の解雇の限界を示す。また、労働者が解雇後に退職金を受領し長期間放置した場合の「黙示の合意」や「失権」に近い法理の適用例として重要である。
事件番号: 昭和36(オ)218 / 裁判年月日: 昭和37年2月15日 / 結論: 棄却
昭和二五年九月二六日連合国総司令部経済科学局D労働課長の私鉄経営者協会に対してなした談話は、私鉄企業が同年七月一八日付連合国最高司令官の内閣総理大臣あて書簡にいわゆる「その他の重要産業」に該当する旨の解釈の表示であつて、当時においては、わが国の国家機関および国民に対し最終的権威をもつていたものと解すべきである。