昭和二五年九月二六日連合国総司令部経済科学局D労働課長の私鉄経営者協会に対してなした談話は、私鉄企業が同年七月一八日付連合国最高司令官の内閣総理大臣あて書簡にいわゆる「その他の重要産業」に該当する旨の解釈の表示であつて、当時においては、わが国の国家機関および国民に対し最終的権威をもつていたものと解すべきである。
昭和二五年九月二六日連合国総司令部経済科学局D労働課長の私鉄経営者協会に対してなした談話の性質および効力
昭和25年7月18日付連合国最高司令官の内閣総理大臣あて書簡,昭和25年9月26日連合国総司令部経済科学局D労働課長の私鉄経営者協会に対してなした談話
判旨
いわゆるレッドパージに伴う解雇について、共産党員であることに加え積極的な党活動を行っていたことを理由とする解雇は、当時の連合国最高司令官の指示に基づく解雇基準に該当し、民事上の法律行為として有効である。
問題の所在(論点)
連合国最高司令官の指示等に基づき、特定の政治活動を理由として行われた解雇(レッドパージ)の民事上の有効性、および憲法違反の成否が問題となる。
規範
解雇の効力は、原則として行為時の法律によって判断されるべき民事上の法律行為である。占領下において連合国最高司令官の指示やその解釈の表示は、当時の国家機関および国民に対し最終的権威を持つものであり、これに基づき策定された解雇基準に該当する解雇は、特段の事情がない限り有効と解される。
重要事実
昭和25年頃のいわゆるレッドパージにおいて、上告人らは勤務先から解雇された。この解雇は、単に共産党員であるという理由だけでなく、上告人らが共産党員として「積極的な党活動を行っていた」ことを理由になされたものであった。上告人らは、この解雇が憲法違反であり、また理由不備があるとしてその無効を訴えたが、原審は連合国最高司令官の指示に基づく「解雇基準」への該当性を認め、解雇を有効とした。
あてはめ
本件解雇の性質は、特段の規定がない限り行為時法によって判断されるべき民事上の法律行為である。当時の状況において、連合国最高司令官の指示やその解釈(労働課長の談話等)は、わが国において最終的権威を有するものであった。本件において、上告人らは単なる党員にとどまらず「積極的な党活動」を行っており、これが当時の「解雇基準」に該当すると認定された事実に照らせば、当該基準に基づく解雇は正当なものとして是認される。したがって、憲法違反や理由不備の主張は前提を欠く。
結論
本件解雇は有効であり、憲法違反の問題も生じない。上告を棄却する。
実務上の射程
本判決は、占領下の特殊な法的状況における解雇の効力を示したものであるが、答案上は「私人間における解雇の効力は行為時法(民法・労働法等)による民事上の法律行為である」という基本原則を確認する際に参照し得る。ただし、現代の思想信条を理由とする解雇(憲法19条・14条、労基法3条)の文脈では、三菱樹脂事件判決等の後の判例法理を優先して適用すべきであり、本件は歴史的特殊性を踏まえた射程の限定に注意が必要である。
事件番号: 昭和30(オ)758 / 裁判年月日: 昭和33年6月5日 / 結論: 棄却
貸金債務の支払確保のため債権者に小切手を交付した債務者は、特段の事由がないかぎり、右貸金の支払は、小切手の返還と引換にすべき旨の同時履行の抗弁をなし得るものと解するを相当とする
事件番号: 昭和35(オ)1407 / 裁判年月日: 昭和36年12月27日 / 結論: 棄却
一 共産党の同調者であることを自認したことは、民訴法第二五七条にいう事実を自白したものと解すべきである。 二 石炭産業は、昭和二五年七月一八日付連合国最高司令官の内閣総理大臣あて書簡にいわゆる「その他の重要産業」に該当する。