判旨
行政処分の無効確認請求に取消請求が含まれるか否かについて、出訴期間内であれば含まれると解すべきであるが、出訴期間経過後に無効確認の形で出訴した場合は当然に含まれるとはいえない。
問題の所在(論点)
行政処分の無効確認請求の中に、予備的な訴えの提起や釈明権の行使を通じて、取消請求が含まれていると解すべきか。特に出訴期間経過後の提起における取扱いが問題となる。
規範
行政処分に関する取消請求と無効確認請求が区別されている以上、無効確認請求の中に当然に取消請求が含まれているとはいえない。もっとも、取消訴訟の出訴期間内に取消事由を無効事由として出訴した場合には、無効確認を求める趣旨の中に取消しを求める趣旨も含まれていると解するのが相当である。しかし、出訴期間経過後に、あえて無効確認請求の形で出訴したと認められる場合には、取消請求は含まれない。
重要事実
上告人らは、被上告人委員会が行った処分に対し、その無効確認を求めて出訴した。上告人A1については適格性を欠くとした判断に違法はなく、A2については仮に違法であっても重大明白な違法とはいえないとされた。本件の出訴は、取消訴訟の出訴期間が経過した後になされたものであった。
あてはめ
本件において、上告人らは出訴期間が経過した後に、その期間経過を意識して「無効確認請求」の形で訴えを提起している。このような状況下では、客観的に見て無効確認のみを目的としていると認められる。したがって、裁判所が取消請求が含まれていると解釈したり、その点について釈明を行わなかったとしても、裁判上の違法があるとはいえない。
結論
出訴期間経過後になされた無効確認請求には、当然には取消請求が含まれるとはいえず、裁判所が取消請求として取り扱わなかったことは正当である。
実務上の射程
事件番号: 昭和35(オ)694 / 裁判年月日: 昭和37年7月13日 / 結論: 破棄自判
一 小学校教諭が三月二五日に学校長に退職願を提出したが、同日夜撤回を決意し、翌二六日学校長に対し撤回方の尽力を依頼し、翌二七日市教育委員会学校教育課長に撤回を申し入れ、さらに、翌二八日に県教育委員会委員長に対し、退職願取消の申入と題する自己名義の文書に押印し発送した場合は、年度末教員の大異動が差し迫つていたからといつて…
訴訟選択の誤り(無効事由がないのに無効確認訴訟を選択した等)を救済するための釈明義務の限界を示す。出訴期間内であれば訴えの変更や解釈による救済の余地があるが、期間経過後は「あえて無効確認を選んだ」ものとして厳格に扱われる点に注意が必要である。
事件番号: 昭和33(オ)1056 / 裁判年月日: 昭和35年3月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】解雇が不当な動機・目的に基づくものであるとの主張に対し、裁判所が適法に確定した事実関係に基づき、客観的合理性や社会的相当性を欠く事情が認められない場合には、解雇は有効とされる。 第1 事案の概要:上告人は、本件解雇が特定の行為や不当な動機に基づいて行われたものであると主張し、その無効を訴えた。しか…
事件番号: 昭和33(オ)285 / 裁判年月日: 昭和33年11月19日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事の抗告事件について裁判権を有するのは、訴訟法により特に許された場合に限られ、実質的に憲法違反の主張を含まない訴訟法上の主張は特別抗告の事由に当たらない。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案である。抗告人は、本件の抗告理由において憲法違反を主張していたが…
事件番号: 昭和33(オ)161 / 裁判年月日: 昭和33年12月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分に相手方の選択を誤った違法がある場合であっても、その瑕疵が重大かつ明白でなく、当然無効と解すべき事情がない限り、出訴期間内に取消訴訟を提起しない以上、当該処分の効力を否定することはできない。 第1 事案の概要:上告人(原告)は農地の転貸人であったが、行政庁は本件農地を上告人ではなく訴外の第…
事件番号: 昭和28(オ)34 / 裁判年月日: 昭和32年3月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分の取消しに関する争いにおいて、処分が行政法上当然に無効であると認められない限り、適法に確定した事実に照らして当該処分を有効と認めるのが相当である。 第1 事案の概要:上告人は、本件の各取消処分および取消の決定について、憲法違反を主張するとともに、実質的にこれらが行政法上無効であると主張して…