判旨
当事者本人の供述が虚偽であることを理由に再審の訴えを提起する場合、民事訴訟法338条1項7号の類推適用または適用により、罰すべき行為について有罪の判決等が確定していること等の要件を満たす必要がある。
問題の所在(論点)
当事者本人の虚偽の供述を理由とする再審の訴え(民訴法338条1項7号の類推適用等)において、同条2項に定める「有罪の判決等の確定」等の要件が必要となるか。
規範
民事訴訟法338条1項7号(旧420条1項7号)は、証拠となった証人の虚偽の陳述が判決の証拠となった場合を再審事由とするが、同条2項により、罰すべき行為について有罪の判決等が確定したとき、または証拠欠缺以外の理由により確定裁判を得られないときに限り、再審の訴えを提起できる。当事者本人の供述が虚偽である場合も、これと同様の厳格な要件を充足することが必要である。
重要事実
再審原告は、東京高等裁判所の判決の証拠となった再審被告本人の供述が虚偽であると主張して、再審の訴えを提起した。しかし、再審原告は、再審被告の当該供述について過料の裁判が確定した事実、あるいは証拠欠缺以外の理由により確定裁判を得られない事情については何ら主張していなかった。
あてはめ
本件において再審原告が主張する事由は、単に再審被告本人の供述が虚偽であるという点に留まっている。民訴法338条2項が要求する「過料の裁判の確定」や、証拠欠缺以外の理由による「確定裁判の不能」という要件については、主張も立証もなされていない。したがって、形式的に虚偽を主張するだけでは再審事由の適法性を欠くというべきである。
結論
本件再審の訴えは、適法な再審事由を欠くため、却下されるべきである。
実務上の射程
事件番号: 昭和30(ヤ)15 / 裁判年月日: 昭和32年5月31日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】特別上告において、提出された論旨が実質的に憲法違反ではなく単なる法令違反の主張に過ぎないと判断して棄却した判決には、判決に影響を及ぼすべき重要な事項の判断遺脱(旧民訴法420条1項9号)は認められない。 第1 事案の概要:再審原告は、従前の判決(特別上告棄却判決)に対し、法律上判断を要すべき事項に…
証人だけでなく当事者本人の供述を再審事由とする際にも、民訴法338条2項の制限が及ぶことを示した。答案上は、再審事由の存否を論じる際に、証拠の虚偽を主張するだけでは足りず、刑事判決等の確定という手続的要件が必要である点を指摘する際に用いる。
事件番号: 昭和32(ヤ)21 / 裁判年月日: 昭和32年12月6日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】再審の訴えにおいて、訴状に記載された事由が民事訴訟法所定の再審事由(旧420条1項各号、現338条1項各号)のいずれにも該当しない場合には、当該再審の訴えは不適法として却下される。 第1 事案の概要:再審原告は、最高裁判所の確定判決に対し、「再審の上訴」と題する書面を提出して再審の訴えを提起した。…
事件番号: 昭和33(ヤ)4 / 裁判年月日: 昭和36年1月27日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】訴訟代理人が適法に提出した上告理由書は、その後に代理権が消滅したとしても有効であり、これに基づき判決をすることは民事訴訟法上の代理権欠缺(再審事由)には該当しない。 第1 事案の概要:再審原告の前上告審において、当時の訴訟代理人(弁護士)が上告理由書を提出した。その後、当該代理人は再審原告本人によ…
事件番号: 昭和27(ヤ)8 / 裁判年月日: 昭和29年5月25日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】再審の訴えにおいて、民事訴訟法(旧法420条、現行338条1項)所定の再審事由を主張しない場合は、訴え自体が不適法として却下される。 第1 事案の概要:再審原告は、最高裁判所が下した既判力のある判決に対し、再審の訴えを提起した。しかし、当該訴えの提起において、民事訴訟法420条(現行338条1項)…
事件番号: 昭和44(オ)210 / 裁判年月日: 昭和47年5月30日 / 結論: 棄却
一、民訴法四二〇条一項六号または七号を再審事由とする再審の訴が同条一項但書により許されないのは、再審原告が、再審の訴の対象となつた判決に対する上訴により、右再審事由のほか、同条二項の要件を主張したか、または右要件の存在を知りながらこれを主張しなかつた場合に限られる。 二、偽造された文書が判決の証拠となつた場合において、…