判旨
準禁治産者が再審の訴えを提起するには保佐人の同意を要し、裁判所の命じた期間内にその欠缺を補正しない場合は、訴えは不適法として却下される。
問題の所在(論点)
準禁治産者が保佐人の同意を得ずに提起した再審の訴えの適法性と、補正命令に応じない場合の処理が問題となる。
規範
訴訟能力に制限がある者が訴訟行為を行うにあたっては、民事訴訟法上の規定に従い、法定代理人の代理または保佐人の同意等が必要となる。これらの訴訟能力や代理権等の欠缺は補正を命ずべき事項であり、適法な期間内に補正がなされない場合には、当該訴訟行為は不適法として却下される。
重要事実
再審原告は準禁治産者であった。再審原告は本件再審の訴えを提起したが、これについて保佐人の同意を得ていなかった。最高裁判所は、再審原告に対し、保佐人の同意の欠缺を補正するよう命じたが、指定された期間内に補正がなされなかった。
あてはめ
再審の訴えの提起は重要な訴訟行為であり、準禁治産者(現在の被保佐人に相当)がこれを行うには保佐人の同意を要する。本件において、再審原告は準禁治産者であるにもかかわらず同意を得ておらず、訴訟手続上の要件に欠缺がある。裁判所が相当期間を定めて補正を命じたにもかかわらず、再審原告がこれを補正しなかった以上、当該訴えは適法な要件を具備しないものと判断される。
結論
本件再審の訴えは不適法であるため、却下する。
実務上の射程
訴訟能力・代理権の欠缺に関する一般的規律を確認した事例である。現在の民事訴訟法においても、被保佐人が訴訟行為をするには原則として保佐人の同意を要し(民訴法32条1項)、欠缺がある場合は裁判所は期間を定めて補正を命じなければならない(同法34条1項)。補正がない場合の却下判決の根拠として参照し得る。
事件番号: 昭和32(テ)27 / 裁判年月日: 昭和33年5月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】準禁治産者が上告の申立てを行うには保佐人の同意を要し、裁判所の命じた期間内にその欠缺を補正しない場合は、上告は不適法として却下される。 第1 事案の概要:上告人は旧民法下の準禁治産者(現在の被保佐人に相当)であった。上告人は本件訴訟において上告の申立てを行ったが、これについて保佐人の同意を得ていな…
事件番号: 昭和33(オ)232 / 裁判年月日: 昭和33年10月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】保佐人の同意を欠く被保佐人の訴訟行為は原則として無効であり、将来的に同意が得られる見込みがある等の事情があっても、裁判所は本案判決を行うことはできず、訴えを却下すべきである。 第1 事案の概要:準禁治産者(現在の被保佐人に相当)であった上告人が、保佐人の同意を得ることなく本案の訴えを提起した。上告…
事件番号: 昭和33(オ)441 / 裁判年月日: 昭和36年11月30日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】訴訟委任の当時、本人に意思能力が欠如していた場合には、委任状が作成されていても有効な訴訟委任とは認められず、上告代理権の欠缺として上告は不適法となり却下される。 第1 事案の概要:本件の上告人は、上告代理人弁護士を選任する旨の委任状を作成していた。しかし、職権による調査の結果、上告人は当該委任状の…
事件番号: 昭和32(ヤ)21 / 裁判年月日: 昭和32年12月6日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】再審の訴えにおいて、訴状に記載された事由が民事訴訟法所定の再審事由(旧420条1項各号、現338条1項各号)のいずれにも該当しない場合には、当該再審の訴えは不適法として却下される。 第1 事案の概要:再審原告は、最高裁判所の確定判決に対し、「再審の上訴」と題する書面を提出して再審の訴えを提起した。…