判旨
公正証書上の記載が将来の取引に関する約定となっていても、実質的な合意が既存債務の連帯保証である場合には、その実態に基づき保証債務の成立を認めることができる。
問題の所在(論点)
公正証書に記載された文言(将来の取引に関する約定)と、当事者の真意(既存債務の連帯保証)が食い違う場合、いかなる範囲で保証債務の成立を認めるべきか。
規範
契約の解釈においては、書面(公正証書)の文言に拘束されることなく、当事者の真意および契約締結に至る経緯を勘案して、合意の実質的な内容を確定すべきである。
重要事実
上告人は、被上告会社との間で将来なすべき取引について約定した旨が記載された公正証書(甲第2号証)を作成した。しかし、実際には訴外株式会社D製作所が被上告会社に対して負担していた既存の債務のうち、50万円を限度として上告人が個人として連帯保証することを目的としていた。
あてはめ
原審の認定によれば、本件公正証書が将来の取引に関する内容で記載されるに至ったのは特定の理由に基づくものであり、真実は既存債務の連帯保証であった。この事実認定は証拠に照らし適法であり、上告人は個人として50万円を限度とする連帯保証をなしたものと評価される。
結論
上告人は、公正証書の文言にかかわらず、実質的に合意された既存債務50万円の範囲で連帯保証責任を負う。
実務上の射程
書面主義がとられる保証契約(民法446条2項)においても、書面の記載と実態が異なる場合に、諸般の事情から当事者の真実の合意を認定し、その効力を認める際の論拠となる。
事件番号: 昭和34(オ)1233 / 裁判年月日: 昭和35年11月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】将来発生すべき債務であっても、特定の取引から生じるものとして範囲が特定されている場合には、連帯保証契約の対象とすることができる。また、包括的な連帯保証の事実は、証拠に基づき合理的に認定されるべきである。 第1 事案の概要:上告人は、昭和31年10月頃、被上告会社に対し、Dが被上告会社との間で行うミ…