判旨
将来発生すべき債務であっても、特定の取引から生じるものとして範囲が特定されている場合には、連帯保証契約の対象とすることができる。また、包括的な連帯保証の事実は、証拠に基づき合理的に認定されるべきである。
問題の所在(論点)
特定の継続的取引(ミシン取引)から生じる将来債務を含めた包括的な連帯保証契約の成否、およびその認定手法の妥当性が問題となった。
規範
将来発生する債務の保証(将来債務の保証)については、主たる債務の範囲が特定の取引関係から生じるものとして限定されており、債務の内容を特定することが可能であれば、その有効性を認めることができる。契約の存否および内容は、挙示された証拠を総合して合理的に解釈されるべきである。
重要事実
上告人は、昭和31年10月頃、被上告会社に対し、Dが被上告会社との間で行うミシン取引に関して負担する債務(既発生および将来発生分)の全額について連帯保証をした。その後、被上告会社が連帯保証債務の履行を求めたところ、上告人は連帯保証の事実を争い、また告訴事件が不起訴となった事実等が認定に影響すべきであると主張して上告した。
あてはめ
原審は、挙示された証拠に照らし、上告人がミシン取引によりDが負担すべき債務全額(既発生および将来債務)を連帯保証した事実を認定した。最高裁は、この認定について「原判示は措辞簡略に過ぎるきらいなしとしない」としつつも、証拠に照らせば十分首肯し得ると判断した。また、関連する告訴事件が不起訴になった事実は、連帯保証の存否を直接左右する資料とはならないと判示した。
結論
将来発生すべき債務を含む連帯保証契約は有効に成立しており、上告人はその履行責任を負う。本件上告は棄却された。
実務上の射程
本判決は、包括的な将来債務の保証について、特定の継続的取引に基づくものであれば有効に成立しうることを前提としたものである。民法改正後の個人根保証契約(民法465条の2以下)の規制下では、極度額の定め等の要件が厳格化されているが、法人の保証や特定債務の範囲確定に関する解釈指針としては依然として参照価値がある。
事件番号: 昭和34(オ)1259 / 裁判年月日: 昭和37年3月23日 / 結論: 棄却
一旦終結した口頭弁論を再開するか否かは裁判所の裁量に属する。