民訴第六三条により裁判所書記官がなす交付送達およびその送達証書の作成は、事実上補助機関たる雇を用いてこれをしても妨げない
雇を補助機関としてなした交付送達および送達証書の適否
判旨
裁判所書記官が行う交付送達(旧民訴法163条)は、その補助機関である雇(やとい)を用いて事実上行わせることができ、またその雇が送達証書を作成することも適法である。
問題の所在(論点)
旧民事訴訟法163条(現行法100条等に相当)に基づく裁判所書記官による交付送達において、書記官以外の補助機関が送達の実施および送達証書の作成を行うことは許されるか、その適法性が問題となった。
規範
裁判所書記官が主体となって行うべき交付送達の事務は、その性質上、書記官が自ら直接手を下して行う必要はなく、書記官の指揮監督下にある補助機関(雇等)を介して事実上の執行を行わせることができる。また、送達の事実を証明する送達証書の作成についても、同様に補助機関が書記官の補助として作成することが許容される。
重要事実
第一審判決正本の送達に関し、送達報告書には裁判所書記官が自ら交付した旨の記載があったが、実際には書記官の補助機関である「雇」が判決正本を交付し、かつ送達報告書も当該「雇」が作成していた。上告人は、このような補助機関による送達および証書作成は、書記官本人が行うべき事務に反し、適法な送達ではないとしてその効力を争った。
あてはめ
本件において、送達の事務を担ったのは裁判所書記官の補助機関である雇であったが、これは書記官がなすべき交付送達を事実上代行したものと評価できる。送達証書の作成についても、書記官の事務を補助する一環として雇が行うことは妨げられない。したがって、送達報告書に基づく送達の認定に瑕疵はなく、手続は適法に行われたといえる。
事件番号: 昭和32(オ)916 / 裁判年月日: 昭和35年3月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不動産売却の委託において、受託者が委任状を取得する際に欺罔行為があったとは認められず、委託者が特定の条件の充足を重視して自ら売却を決意し委任状を交付した場合には、民法96条1項の詐欺による取消しは認められない。 第1 事案の概要:上告人(委託者)は、a町の土地建物の処分について、訴外Dの同意がある…
結論
裁判所書記官の補助機関による送達の実施および送達証書の作成は適法であり、送達の効力は有効に生じる。
実務上の射程
送達等の裁判所事務について、条文上の主体が「裁判所書記官」とされている場合であっても、それが機械的・事実的な性質を有する事務であれば、書記官の管理下にある補助者が代行することを肯定する。答案作成上は、手続の適法性が争点となる場面で、事務の性質に応じた代行の許容範囲を基礎づける論理として活用できる。
事件番号: 昭和33(オ)259 / 裁判年月日: 昭和37年2月15日 / 結論: 棄却
指定された判決言渡期日の前日に裁判官忌避の申立があつたので、訴訟手続が停止され、忌避申立却下の裁判確定後に判決言渡がなされた事件において、右訴訟手続停止期間中に忌避を申し立てられた裁判官が他に転補されたからといつて、特別の事情の認められないかぎり、右判決は忌避申立前に評議ならびに原本の署名を了えていたものとを認められる…
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【結論(判旨の要点)】保佐人の同意を欠く被保佐人の訴訟行為は原則として無効であり、将来的に同意が得られる見込みがある等の事情があっても、裁判所は本案判決を行うことはできず、訴えを却下すべきである。 第1 事案の概要:準禁治産者(現在の被保佐人に相当)であった上告人が、保佐人の同意を得ることなく本案の訴えを提起した。上告…
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【結論(判旨の要点)】民法110条にいう「正当の理由」とは、第三者(相手方)において代理人に権限があると信ずるにつき過失がないことを意味し、過失がある場合には表見代理は成立しない。 第1 事案の概要:上告人(相手方)は、代理権を欠く者との間で取引を行ったが、原審において、当該代理人に権限があると信ずるにつき上告人に過失…
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乙名義で不動産を競落した甲から所有権を取得した丙は、乙に対して移転登記の請求をすることができる。