判旨
裁判所が親権者を指定する際、子の将来の幸福や利益を斟酌すべきであるが、必ずしも子の意思を確めなければならないわけではない。
問題の所在(論点)
裁判所が親権者を指定する場合において、子の意思を確認することは法的な義務か(旧民法および現行民法における親権者指定の適法性)。
規範
裁判所が子の親権者を指定するにあたっては、子の将来の幸福および利益を最優先に考慮して判断すべきである。その際、裁判所が子の意思を直接確認することは、法律上必須の要件とはされていない。
重要事実
上告人A1と被上告人の間の離婚および上告人A2と被上告人の間の離縁が問題となった事案。原審は婚姻および縁組を継続し難い重大な事由があるとしてこれらを認めるとともに、子の将来の幸福や利益を斟酌して、被上告人を子の親権者と定めた。これに対し上告人側は、裁判所が子の意思を確認していない点に違法があると主張して上告した。
あてはめ
原審が認定した諸事情および判決の全趣旨に照らせば、子の将来の幸福や利益が十分に斟酌されていると認められる。上告人は、子の意思を確認すべき成法上の根拠を主張するが、そのような義務を課す規定は存在しない。したがって、子の意思を直接確認せずに親権者を指定した原審の判断に裁量権の逸脱や違法は認められない。
結論
裁判所は子の意思を確認しなくても、子の利益を考慮して親権者を指定することができる。本件の上告は棄却される。
実務上の射程
親権者指定における子の意思把握の要否に関する初期の判例である。現在は人事訴訟法や家事事件手続法により、子の年齢に応じた意向把握が手続的に強化されているが、実務上、子の意思が絶対的な拘束力を持つものではなく、あくまで「子の利益」の観点から総合判断されるという基本姿勢を理解する上で重要である。
事件番号: 昭和32(オ)501 / 裁判年月日: 昭和34年12月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民法730条は、同族間の扶助義務を定めた訓示的規定にすぎず、具体的な権利義務を創設するものではない。また、養親子間において悪意の遺棄等の事情がない限り、親族間の不和のみでは縁組を継続しがたい重大な事由には当たらない。 第1 事案の概要:養親である上告人らが、養子である被上告人に対し、離縁を求めて提…
事件番号: 昭和28(オ)386 / 裁判年月日: 昭和32年5月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】夫婦間の性格の相違や夫の過去の非行がそれ自体で直ちに離婚原因とはならないとしても、これらに加え諸般の事情を総合して判断し、婚姻を継続し難い重大な事由があると認められる場合には、民法770条1項5号の離婚原因に該当する。 第1 事案の概要:被上告人(妻)が上告人(夫)に対し、性格の相違や上告人の過去…