判旨
存続期間を「建物の朽廃時まで」と定めた地上権において、建物が朽廃前に滅失した場合は、建物が存続していれば朽廃したであろう時をもって存続期間が満了する。
問題の所在(論点)
存続期間を建物の朽廃時までと定めた地上権において、建物が朽廃前に焼失した場合、存続期間はどのように算定されるか。また、その残存期間が罹災都市借地借家臨時処理法11条の適用を受けるか。
規範
地上権の存続期間を「建物が朽廃するまで」と約定した場合、その趣旨は建物が物理的・社会経済的に効用を失う時期を終期とする点にある。したがって、目的建物が朽廃前に(火災等により)滅失したとしても、地上権が当然に消滅するわけではなく、当該建物が存続していたと仮定した場合に朽廃したであろう時期が到来したことをもって、存続期間が満了すると解すべきである。
重要事実
地上権者(上告人ら)と設定者(被上告人)との間で、本件地上権の存続期間を「地上建物の朽廃時まで」とする約定があった。しかし、当該建物は昭和20年7月2日の戦災により焼失(滅失)した。原審は、当該建物が仮に焼失しなかったとしても、以後10年以内(昭和30年まで)には朽廃したであろうと認定した。また、設定者は、本件土地上に残存期間を超えて存続すべき建物が新たに建築された際、遅滞なく異議を述べていた。
あてはめ
本件地上権の存続期間は、建物の朽廃時を終期とする約定であったから、建物が焼失した場合には「仮に焼失しなかったならば朽廃したであろう時期」を基準に判断すべきである。本件建物は昭和20年時点で以後10年以内に朽廃したと認められるため、焼失時(昭和20年7月1日)からの残存期間は10年未満となる。したがって、設定者が異議を述べている以上、罹災都市借地借家臨時処理法11条が定める期間延長の適用を受けるべき要件を検討する余地が生じる(原審の判断に誤りはない)。
結論
建物が朽廃前に滅失した場合、本来朽廃すべきであった時をもって存続期間が満了する。本件では焼失から10年未満で期間が満了すると認められる。
実務上の射程
建物朽廃時を期間の終期とする合意の解釈を示す。現代の借地借家法下でも、旧法(大正10年法)下の借地権や、非堅固建物の存続期間の算定、更新がない場合の期間満了時期の判断において、滅失時の残存期間を確定する際の有力な基準となる。
事件番号: 昭和31(オ)508 / 裁判年月日: 昭和35年3月22日 / 結論: 棄却
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事件番号: 昭和32(オ)569 / 裁判年月日: 昭和34年5月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地法(現行の借地借家法25条相当)にいう「建物所有を目的とする賃貸借」に該当しないか、あるいは「一時使用のための借地権」と認められる場合には、存続期間に関する法定の制限を受けず、約定期間の満了により賃貸借が終了する。 第1 事案の概要:本件賃貸借契約において、当事者は約定の期間満了による契約終了…
事件番号: 昭和36(オ)321 / 裁判年月日: 昭和36年11月30日 / 結論: 棄却
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