いわゆる普通建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約において期間を三年と定めた場合には、右存続期間の約定は、借地法一一条により、定めなかつたものとみなされ、右賃貸借の存続期間は、同法二条一項本文により、契約の時から三〇年と解すべきである。
普通建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約において期間を三年と定めた場合における賃貸借の存続期間
借地法2条,借地法11条
判旨
借地法2条2項が定める最低期間より短い存続期間を定めたときは、同法11条によりその約定は無効となり、借地権の存続期間は同法2条1項所定の法定期間(堅固建物60年、その他30年)となる。
問題の所在(論点)
借地法2条2項が定める最低期間(非堅固建物の場合20年)を下回る存続期間を合意した場合、その借地権の存続期間はどうなるか。約定期間が最短期間(20年)まで引き直されるのか、それとも法定期間(30年)が適用されるのかが問題となる。
規範
借地法は借地権者を保護するため、存続期間を堅固建物60年、その他30年と法定している(同法2条1項)。当事者がこれと異なる期間を定める場合、同条2項所定の期間(堅固建物30年以上、その他20年以上)を満たす場合に限り有効となる。これより短い期間を定めたときは、同法11条により借地権者に不利な特約として無効(定めがないものとみなす)となり、期間は同法2条1項の法定期間によって律せられる。
重要事実
建物所有を目的とする土地の転貸借契約において、当事者がその存続期間を3年と定めた。なお、当該建物は借地法2条1項にいう「堅固の建物」には該当しない「その他の建物」であった。
あてはめ
本件転貸借契約における「3年」という期間の定めは、借地法2条2項が許容する最短期間である20年を下回るものである。したがって、この約定は同法11条により無効であり、期間の定めがない場合と同様に扱われる。本件建物は「その他の建物」であるから、同法2条1項本文に基づき、存続期間は契約の時から30年と解される。
結論
本件転貸借の存続期間は、契約の時から30年となる。
実務上の射程
旧借地法下の事案であるが、現行の借地借家法3条(存続期間)及び9条(強行規定)の解釈においても同様の論理が妥当する。約定期間が法定最短期間を下回る場合に、最短期間への引き直しではなく「期間の定めのない借地権」として法定期間が適用されるという点は、答案作成上の重要な分岐点となる。
事件番号: 昭和28(オ)714 / 裁判年月日: 昭和30年7月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地法(現行借地借家法25条)における一時使用目的の借地権の成否は、使用目的や期間等の諸事情から総合的に判断される。建物収去を伴う解約において、当初の催告期間が短期間であっても、その後の相当期間の経過により解約の効力は生じる。 第1 事案の概要:本件は、宅地を棒炭の乾燥場として使用する目的で賃貸借…
事件番号: 昭和35(オ)336 / 裁判年月日: 昭和38年2月26日 / 結論: 棄却
建物所有を目的とする土地の賃貸借に関し、あらかじめ賃貸借の存続期間を定めなかつたときは、特段の事情のない限り、右賃貸借の期間は、借地法二条一項により、堅固建物については六〇年、非堅固建物については三〇年と法定され、民法第六〇二条所定の期間を超えるから、右賃借権の対抗要件具備が根抵当権設定登記後なされた場合には同法第三九…
事件番号: 昭和35(オ)1066 / 裁判年月日: 昭和37年2月6日 / 結論: 棄却
地主の長男が医学修業中であり、卒業後その土地で医業を開始することを予定していたので、借地期間を右医業開始確定の時までとするため、契約にあたり、地上に建築せらるべき建物を戦災復旧用建坪一五坪のバラツク住宅と限定し、特に一時使用を条件とする旨契約書に明記されていた場合には、たとえ右開業時期が明確に定まつていなかつたため、一…