非堅固建物の所有を目的とする借地契約における借地期間を昭和三六年一月八日から昭和五六年一月七日までとする旨の約定が存する場合において、右契約の当事者は、借地権の存続期間を借地法二条二項に規定する最短期間である二〇年に定めるつもりであつたところ、民法における初日不算入の原則を考慮しなかつたためか又は計算を誤つたために、形式的には右のような約定になつたものと推認するのが最も自然であると認められるという原判示の事実関係のもとにおいては、本件借地契約の形式、文言にかかわらず、その存続期間を二〇年と定める趣旨であつたと認めるのが相当である。
非堅固建物の所有を目的とする借地契約において二〇年に一日足りない期間が定められた場合に借地法二条二項の適用が肯定された事例
借地法2条,借地法11条
判旨
借地契約において、特定の開始日から終了日までの期間を指定する約定は、その形式や文言にかかわらず、借地権の存続期間を定める趣旨として認めるのが相当である。
問題の所在(論点)
借地契約における特定の月日を指定した期間制限の約定が、借地権の存続期間を定めたものとして認められるか。特に、形式や文言に依らず実質的に存続期間の合意として評価できるかが問題となる。
規範
借地権の存続期間に関する約定の解釈にあたっては、契約書上の形式的な文言のみにとらわれることなく、当事者が当該期間を合意した実質的な趣旨を考慮して判断すべきである。
重要事実
借地契約において、借地期間を「昭和36年1月8日から昭和56年1月7日まで」とする旨の約定がなされた。この約定が、旧借地法における借地権の存続期間を20年と定める合意にあたるか否かが争点となった。
あてはめ
本件における「昭和36年1月8日から昭和56年1月7日まで」という約定は、その形式や文言がどのようであっても、実質的には20年間という具体的な期間を画定させるものである。したがって、これは借地権の存続期間を20年と定める趣旨であると認められる。
結論
本件の期間制限の約定は、借地権の存続期間を20年と定める趣旨のものと認められる。したがって、原審の判断に違法はない。
実務上の射程
契約実務において特定の始期・終期を定めた場合、それが「期間」を合意したと評価されることを示す。現行の借地借家法下でも、存続期間の合意の有無を判断する際の解釈指針として活用できる。
事件番号: 昭和36(オ)378 / 裁判年月日: 昭和37年2月16日 / 結論: 棄却
経済的変動により賃料額が不相当となつたときは、協定のうえこれを増減することができるし、期間を更新することもできる旨の約款があつても、その賃貸借を一時使用のためのものと認定できないことはない。
事件番号: 昭和44(オ)1017 / 裁判年月日: 昭和47年2月10日 / 結論: 棄却
土地賃貸借契約成立の事情として、賃貸人は、当初、賃借人の借地申入れに対し、他人に土地を貸すときは回収が困難になるとして賃貸することに反対していたが、賃借人や仲介に入つた知人から、一時しのぎに僅かな土地でもよいし、何時でも取り払える仮小屋の建物でよいから」と執拗に懇請され、やむなくバラツク建物に限り建築を許す趣旨で、約六…
事件番号: 昭和46(オ)846 / 裁判年月日: 昭和47年6月23日 / 結論: 棄却
土地の賃借人およびその経営する会社が他に営業の場所を有するに至つたときまたは爾後の営業の準備に通常要する期間を経過したときをもつて明渡期限と定めて、土地賃貸借が合意解約された場合において、賃貸人に対し賃借人がその所有の他の土地建物を買い受けてもらう必要から、判示のような経過で解約を承諾したものであるときは、右合意につき…
事件番号: 昭和39(オ)58 / 裁判年月日: 昭和39年7月3日 / 結論: 棄却
土地の賃貸借契約が当初甲市内に散在していた露天商を一時整理収容するために市役所等のあっせんにより期間を一年と限って成立し、その後借地人らの申出によって期間を限って契約が再三更新され、かつ、最終の契約においては、期間を一年三箇月とし賃貸人の許可なく組立式以外の建物の築造を禁止し、夜警以外の居住を禁止するなど原判決の認定の…