判旨
裁判上の離婚において、裁判所は、父母のいずれか一方を親権者と定めるにあたり、当事者(親権者として定められる側)からの申立を必要としない。
問題の所在(論点)
裁判上の離婚において、裁判所が父母の一方を親権者と定める際、当該当事者による「親権者となることの申立」が必要か否か(民法819条2項の性質)。
規範
民法819条2項に基づき、裁判上の離婚をする場合には、裁判所は職権で父母のいずれか一方を親権者と定めることができる。この判断は、子の福祉を目的とする裁判所の後見的役割に基づくものであるため、当事者からの申立を要件とするものではない。
重要事実
上告人と被上告人の離婚をめぐる訴訟において、原審が上告人を親権者と定めたことに対し、上告人が「自分は親権者となる申立をしていないにもかかわらず親権者に指定されたのは違法である」旨を主張して上告した事案である。
あてはめ
民法819条2項は「裁判所は……父母の一方を親権者と定める」と規定しており、この規定は子の監護・教育を確保するための公益的要請に基づくものである。したがって、裁判所が上告人を親権者として最適であると判断した以上、上告人自身の申立の有無は結論を左右しない。本件において、原審が上告人の意向や申立の欠如にかかわらず親権者を指定したことは、同条項の解釈として正当である。
結論
裁判上の離婚において、親権者の指定に当事者の申立は不要であるため、申立がないことを理由とする上告は棄却される。
実務上の射程
人事訴訟における附帯処分(親権者の指定)の職権事項性を認めた判例。答案上では、処分権主義が修正される場面(子の福祉の観点)の根拠として、民法819条2項の職権発動を正当化する文脈で引用する。
事件番号: 昭和63(オ)270 / 裁判年月日: 平成元年12月11日 / 結論: 棄却
裁判所は、離婚請求を認容するに際し、親権者の指定とは別に子の監護者の指定をしない場合であっても、申立により、監護費用の支払を命ずることができる。
事件番号: 昭和32(オ)847 / 裁判年月日: 昭和34年4月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が親権者を指定する際、子の将来の幸福や利益を斟酌すべきであるが、必ずしも子の意思を確めなければならないわけではない。 第1 事案の概要:上告人A1と被上告人の間の離婚および上告人A2と被上告人の間の離縁が問題となった事案。原審は婚姻および縁組を継続し難い重大な事由があるとしてこれらを認めると…
事件番号: 平成21(受)332 / 裁判年月日: 平成23年3月18日 / 結論: その他
妻が,夫に対し,夫との間に法律上の親子関係はあるが,妻が婚姻中に夫以外の男性との間にもうけた子につき,離婚後の監護費用の分担を求めることは,次の(1)〜(3)など判示の事情の下においては,権利の濫用に当たる。 (1) 妻が,出産後程なく当該子と夫との間に自然的血縁関係がないことを知ったのに,そのことを夫に告げなかったた…
事件番号: 平成17(受)1793 / 裁判年月日: 平成19年3月30日 / 結論: その他
離婚の訴えにおいて,別居後単独で子の監護に当たっている当事者から他方の当事者に対し,別居後離婚までの期間における子の監護費用の支払を求める旨の申立てがあった場合には,裁判所は,離婚請求を認容する際に,人事訴訟法32条1項所定の子の監護に関する処分を求める申立てとして,その当否について審理判断しなければならない。
事件番号: 平成14(受)505 / 裁判年月日: 平成16年6月3日 / 結論: 破棄差戻
1 離婚の訴えの原因である事実によって生じた損害賠償請求の反訴の提起及び離婚の訴えに附帯してする財産分与の申立てについては,控訴審においても,相手方の同意を要しない。 2 原審の口頭弁論の終結に至るまでに離婚請求に附帯して財産分与の申立てがされた場合において,上訴審が,原審の判断のうち財産分与の申立てに係る部分について…