判旨
判決において表示された境界や地点が、図面や特定の基準点(境界線や排水溝等)からの距離・方向によって現地と対応可能であれば、現地特定に欠けるところはない。
問題の所在(論点)
判決において特定の地点や線を指示する際、どの程度の具体性があれば「現地特定」を欠かないといえるか。
規範
判決における現地の特定は、判決理由および添付図面に基づき、既存の境界線や工作物等の基準点からの方位・距離によって、客観的にその位置を確定し得る程度になされていれば足りる。
重要事実
上告人は、判決が示した特定の地点(は・に)について現地特定を欠くと主張した。原判決および添付図面では、当該地点は被上告人所有の土地が北側道路との境界線に接する地点(排水溝の中央を起点とする)から、当該境界線にほぼ直角に16間7分の距離をおいた地点であると示されていた。
あてはめ
本件では、判決理由と添付図面を照らし合わせることで、排水溝の中央という明確な起点から境界線に対する角度(直角)および具体的な距離(16間7分)が示されている。これによれば、当該地点およびそれらを結ぶ線は、客観的かつ一義的に現地の位置と対応させることが可能である。したがって、判決が不明確であるとの上告人の主張は当たらない。
結論
判決理由および添付図面により現地の位置を確定できる以上、現地特定に欠けるところはないとして、上告を棄却した。
実務上の射程
給付訴訟(土地明渡請求や工作物撤去請求等)の執行力を確保するための判決の特定に関する基準を示すものである。執行官が執行をなし得る程度に、不動産登記や客観的な工作物・距離・方位を用いて特定すべきという実務上の要請を裏付ける。
事件番号: 昭和33(オ)664 / 裁判年月日: 昭和34年9月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】建物収去土地明渡請求において、収去すべき建物部分が上告人の所有地に跨る部分を除外して判示されているなど、執行が可能な程度に収去範囲が特定されていれば、判決に違法はない。 第1 事案の概要:被上告人が上告人に対し、不法占有を理由として建物の収去及び土地の明渡を求めた事案。第一審判決と原判決(二審)と…
事件番号: 昭和32(オ)366 / 裁判年月日: 昭和34年6月25日 / 結論: 棄却
家屋の所有者がその占有する権原のない場合に、右所有者を代表者とする会社がその家屋の全部を借受けて占有しているときは、右会社は、敷地の所有者に対し、敷地の不法占有による損害賠償責任を負う。
事件番号: 昭和30(オ)7 / 裁判年月日: 昭和32年5月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】代物弁済契約の成立認定において、公正証書への記載がないことは直ちに契約の不在を意味せず、また当事者が明渡しを求めている対象土地について、相手方が代物弁済による所有権取得を主張する場合、その目的物は特定されていると解するのが相当である。 第1 事案の概要:上告人(債権者)は、被上告人(債務者)に対し…
事件番号: 昭和32(オ)659 / 裁判年月日: 昭和33年5月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】権利の行使が権利の濫用に該当するか否かは、確定された事実関係に基づき、客観的・総合的な諸事情を照らして判断される。本件においては、原審の認定した事実の範囲内では権利の濫用とは認められないと判断された。 第1 事案の概要:上告人らは、被上告人による本訴請求が権利の濫用にあたると主張して争った。原審は…
事件番号: 昭和34(オ)1276 / 裁判年月日: 昭和35年10月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強制競売によって建物の所有権を取得した事実は、登記の推定力に依拠せずとも、執行手続等の客観的事実に基づき認定することができる。 第1 事案の概要:被上告人(原告)は、強制競売の手続を通じて、本件建物および宅地の所有権を取得した。これに対し、上告人(被告)側は、原審が「登記の推定力」によって被上告人…