判旨
強制競売によって建物の所有権を取得した事実は、登記の推定力に依拠せずとも、執行手続等の客観的事実に基づき認定することができる。
問題の所在(論点)
不動産の所有権取得を認定する際、登記の推定力によらなければならないか。また、強制競売という事実関係に基づき所有権取得を認定することの可否が問題となる。
規範
不動産の所有権取得の認定において、登記に権利帰属を推定させる効力(登記の推定力)が認められるとしても、裁判所は登記のみに拘束されるものではない。競売手続等の法律上の原因に基づき所有権を取得した事実が別途認められる場合には、その事実認定によって所有権の帰属を判断すべきである。
重要事実
被上告人(原告)は、強制競売の手続を通じて、本件建物および宅地の所有権を取得した。これに対し、上告人(被告)側は、原審が「登記の推定力」によって被上告人を所有者と認めたものであると主張して、その判断を争った。
あてはめ
原判決は、被上告人が強制競売という具体的な法的効力を生じさせる手続によって本件物件の所有権を取得したという事実を直接認定している。これは登記の記載から権利を推認したものではなく、競売による権利移転という実体上の事実認定に基づくものである。したがって、上告人が主張する「登記の推定力によって所有者と認めた」という前提自体が失当である。
結論
被上告人は強制競売によって本件建物等の所有権を取得したと認められる。上告は棄却される。
実務上の射程
本判決は、登記の推定力の限界を示唆する。実務上、権利帰属が争われる場面では、単に不動産登記簿の記載を援用するだけでなく、売買や競売といった権利変動の具体的・原因的事実を証拠に基づき立証・認定すべきであることを示す。
事件番号: 昭和36(オ)976 / 裁判年月日: 昭和37年3月23日 / 結論: 棄却
登記のない建物については「建物保護ニ関スル法律」は適用されない。
事件番号: 昭和34(オ)444 / 裁判年月日: 昭和36年12月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不動産の競売において、他人の依頼を受けて名義人となり競落した場合であっても、内部関係において所有権を依頼者に移転する合意があれば、依頼者が実質的な所有権を取得する。その後、当該物件の譲受人が従前の賃貸借契約を承継することに合意した場合には、譲受人は賃借人に対して明渡請求をなし得ない。 第1 事案の…
事件番号: 昭和32(オ)366 / 裁判年月日: 昭和34年6月25日 / 結論: 棄却
家屋の所有者がその占有する権原のない場合に、右所有者を代表者とする会社がその家屋の全部を借受けて占有しているときは、右会社は、敷地の所有者に対し、敷地の不法占有による損害賠償責任を負う。
事件番号: 昭和35(オ)461 / 裁判年月日: 昭和36年4月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】登記申請行為は、国家機関たる登記所に対してなされる公法上の行為であって、私法上の意思表示ではないため、民法上の表見代理規定等の直接の適用はない。 第1 事案の概要:上告人らが、本件建物の所有権移転等に関する登記申請行為について、それが私法上の意思表示に該当するか、あるいは代理権の有無等が争点となる…
事件番号: 昭和34(オ)1106 / 裁判年月日: 昭和37年3月27日 / 結論: 棄却
宅地およびその上の建物を甲が所有していたところ、抵当権の実行により乙が建物を競落して、法定地上権を取得し(その後に宅地につき土地区画整理法によつていわゆる現地換地による仮換地の指定がなされた)、次いで丙が地上権とともに建物を譲受け、さらにその後丁が甲から宅地を譲受けてそれぞれ所有権移転登記を経由した場合においては、丙が…