判旨
行政処分に当然無効と言いうるほどの重大かつ明白な瑕疵が認められない限り、当該処分は有効なものとして取り扱われる。
問題の所在(論点)
行政処分(本件買収処分)が「当然無効」と認められるための要件、および本件において水害発生の恐れ等が「重大かつ明白な瑕疵」に該当するか否かが問題となった。
規範
行政処分が当然無効となるためには、当該処分に「重大且つ明白なかし」があることを要する。
重要事実
上告人らは、本件土地の買収処分について、開墾による水害発生の危険性や土地の形質変更制限後の植樹等を理由に、当該処分には重大な瑕疵があり当然無効であると主張して争った。
あてはめ
本件土地が開墾されたとしても、水害の発生防止は至難であるとは認められない。また、指摘された植樹は農地法による制限後に行われたものである。これらの事実関係に照らせば、本件買収処分に、当然無効と解さなければならないほどの重大かつ明白な瑕疵があるとは認められない。
結論
本件買収処分に当然無効事由は認められず、上告は棄却される。
実務上の射程
行政処分の公定力を覆し、出訴期間経過後などに無効を主張する場合の一般的枠組み(重大明白説)を示す。実務上は、瑕疵の重大性(法規の重要目的違反)と明白性(処分の外形上客観的に明らかであること)の両面から検討する際の基準となる。
事件番号: 昭和37(オ)1389 / 裁判年月日: 昭和38年11月1日 / 結論: 棄却
一 農地買収処分の前提としての調査が十分になされたかどうかは、当該処分の有効無効に関係しない(昭和三六年三月七日第三小法廷判決、民集一五巻三号三八一頁)。 二 共有にかかる農地を単独所有であるとして為した買収処分の違法は、その誤認が原審判示のように無理からぬ事情のもとでなされた以上、重大かつ明白な瑕疵ということはできず…
事件番号: 昭和32(オ)481 / 裁判年月日: 昭和35年6月14日 / 結論: 棄却
一 強制法規の違背がすべて行政処分の当然無効の原因となるものではなく、その違背が重大かつ明白である場合にかぎつて、その無効原因となるものと解すべきである。 二 買収計画書には、計画の樹立が農業委員会の議決に基くものである旨の記載を要するものではなく、また、これに議決に関与した委員の署名を要するものではない。 三 買収計…
事件番号: 昭和30(オ)385 / 裁判年月日: 昭和32年1月31日 / 結論: 棄却
農地買収計画に対する異議決定および訴願裁決に理由の記載がなくても、右計画に基く農地買収処分は無効ではない。
事件番号: 昭和26(オ)251 / 裁判年月日: 昭和32年4月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】既墾地を未墾地と誤認して行った農地買収計画等の行政処分は、その瑕疵が重大かつ明白である場合には当然無効となる。 第1 事案の概要:本件土地は、昭和22年6月の農地買収計画樹立時において、既に開墾が完了していた。具体的には、一方の土地には陸稲が植え付けられ、他方の土地には馬鈴薯や大豆等が蒔き付けられ…
事件番号: 昭和32(オ)883 / 裁判年月日: 昭和33年10月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分が当然無効とされるためには、その瑕疵が重大かつ明白であることを要する。事実に反する無理な認定により法律上の要件を欠くことが明白な状況下で強行された農地買収処分は、重大かつ明白な瑕疵があり当然無効である。 第1 事案の概要:被上告人はa村に居住し、そこを生活の本拠としていることは村民周知の明…