判旨
運送取扱人は、運送品の滅失、損傷又は延着について、自ら又はその使用人が運送の受取、引渡し、保管、運送人の選択その他運送に関して注意を怠らなかったことを証明しなければ、損害賠償責任を免れることができない。
問題の所在(論点)
運送取扱人が、商法560条(現行572条)に規定される「運送人の選択その他運送に関する注意」を怠らなかったとして免責されるための要件とその立証の程度。
規範
運送取扱人が商法560条(現行法572条)に基づき損害賠償責任を免れるためには、運送人の選択その他運送に関して注意を怠らなかったことを証明しなければならない。この注意義務には、適切な運送能力や信頼性を備えた運送業者を選択する義務が含まれる。
重要事実
上告人(運送取扱人)が介入した運送において、何らかの損害(詳細な事故態様は判決文からは不明)が発生した。上告人は、自らが運送人の選択について注意を欠いていなかったと主張して、商法上の無過失による責任免除を求めた。
あてはめ
上告人は、運送人の選択において注意を尽くしたと主張したが、原審が認定した事実関係によれば、当該運送人の選定過程や信頼性の確認において不十分な点があったと推認される。上告人の提出した全証拠を検討しても、運送人の選択において善管注意義務を尽くしたことを十分に立証したとは認められない。
結論
上告人は、運送人の選択その他運送に関する注意を怠らなかったことを立証できていないため、損害賠償責任を免れることはできない。
実務上の射程
運送取扱人の責任に関する挙証責任の所在を明確にした事例である。答案上では、商法572条(旧560条)の免責事由である「注意を怠らなかったこと」の証明責任が運送取扱人側にあることを示す際に、本判決を引用して「運送人の選択」に関する具体的事実を検討する指針として用いる。
事件番号: 昭和37(オ)486 / 裁判年月日: 昭和41年12月20日 / 結論: 棄却
商法第五六六条第三項、第五八八条第二項にいう「悪意アリタル場合」とは、運送取扱人または運送人が運送品に毀損または一部滅失のあることを知つてこれを荷受人に引き渡した場合をいう。