国税滞納処分による差押については、民法第一七八条の適用があるものと解すべきである
国税滞納処分による差押と民法第一七八条の適用の有無
判旨
動産の譲受人がその所有権取得を第三者に対抗するためには、引渡し(民法178条)を具備する必要がある。
問題の所在(論点)
動産の所有権取得を第三者に対抗するための要件(民法178条)。
規範
動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができない(民法178条)。
重要事実
上告人(控訴人)は本件物件の所有権を取得したと主張し、その対抗要件として引渡しを受けた事実を証明するために「甲五号証」を提出した。しかし、原審は当該証拠のみでは引渡しの事実を認定するには不十分であると判断した。
あてはめ
本件において、上告人は物件の引渡しを受けた事実に依拠して所有権を主張するが、提出された証拠(甲五号証)では引渡しの事実を認定するに足りない。また、その他に所有権取得を第三者に対抗しうる事実(引渡し等)についての主張・立証もなされていない。したがって、対抗要件を具備しているとは認められない。
結論
事件番号: 昭和29(オ)122 / 裁判年月日: 昭和31年4月24日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】国税滞納処分による差押えにおいても民法177条の適用があり、国が「第三者」に該当しないというためには、単に滞納処分の過程で事情を知っていただけでは足りず、納税者の信頼を強く裏切るような「特段の事情」が必要である。 第1 事案の概要:国(上告人)が滞納処分として不動産を差し押さえた際、当該不動産は登…
本件物件の所有権取得を第三者に対抗することはできず、上告人の請求は認められない。
実務上の射程
動産の対抗要件(引渡し)に関する極めて基本的な判示である。答案上は、二重譲渡等の対抗関係において、民法178条の具備の有無を検討する際の根拠として用いる。本判決は引渡しの事実認定の困難さを示唆するものでもあり、実務上は引渡しの態様(現実の引渡し、簡易の引渡し、占有改定、指図による占有移転)を具体的事実から特定することが求められる。
事件番号: 昭和30(オ)705 / 裁判年月日: 昭和34年9月3日 / 結論: 棄却
国税徴収法第一四条の規定は滞納差押財産につき第三者の財産取戻請求手続を規定したものであつて、収税官吏が差押処分又は公売処分をなすに際し公簿の記載を離れて真実の所有者を探究すべき義務あることを規定したものではない。
事件番号: 昭和34(オ)1280 / 裁判年月日: 昭和36年10月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不動産の二重譲渡において、第一の譲受人は、自らが未だ所有権移転登記を備えていない以上、第二の譲受人に対して所有権の取得を対抗することができない。これは、第二の譲受人の有する登記が有効であるか否かを問わない。 第1 事案の概要:上告人は、本件不動産を譲り受けたと主張しているが、未だその所有権取得の登…
事件番号: 昭和31(オ)442 / 裁判年月日: 昭和33年5月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法律行為の無効は絶対的であり、何人からも主張し得るものであるから、当該契約の当事者でない者であってもその無効を主張することができる。 第1 事案の概要:上告人と他者の間で売買契約が締結されたが、被上告人が当該売買契約の無効を主張した。上告人は、被上告人が当該売買契約の当事者ではないことを理由に、無…