判旨
法律行為の無効は絶対的であり、何人からも主張し得るものであるから、当該契約の当事者でない者であってもその無効を主張することができる。
問題の所在(論点)
契約の当事者ではない第三者が、当該法律行為(売買契約)の無効を主張することができるか。無効の主張権者の範囲が問題となる。
規範
法律行為の無効は原則として絶対的である。したがって、特段の事情がない限り、何人からもその無効を主張することができ、主張者に法律上の利害関係があるか否かを問わず、契約当事者以外の第三者であっても無効主張が可能である。
重要事実
上告人と他者の間で売買契約が締結されたが、被上告人が当該売買契約の無効を主張した。上告人は、被上告人が当該売買契約の当事者ではないことを理由に、無効を主張する適格がないと争った。なお、具体的な売買契約の内容や無効原因の詳細は判決文からは不明である。
あてはめ
法律行為の無効は絶対的なものであるという性質に照らせば、その効力が発生しないことを前提とした主張は、特定の者に限定されるものではない。本件において、被上告人は判示売買契約の当事者ではないものの、無効の絶対性に基づき、当該契約の無効を主張し得る立場にあるといえる。
結論
被上告人は契約当事者でなくとも無効を主張できる。したがって、第三者による無効主張を認めた原審の判断は正当であり、上告は棄却される。
実務上の射程
無効主張の「絶対性」という基本原則を確認した判例である。答案上では、公序良俗違反(民法90条)や意思無能力による無効など、何人からも主張可能な無効を論じる際の法的根拠として活用できる。ただし、現代の議論では「無効主張に法律上の利益が必要か」という点(主張者適格)が問題となることがあるが、本判決は広範な主張権を認める立場に近い。
事件番号: 昭和29(オ)122 / 裁判年月日: 昭和31年4月24日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】国税滞納処分による差押えにおいても民法177条の適用があり、国が「第三者」に該当しないというためには、単に滞納処分の過程で事情を知っていただけでは足りず、納税者の信頼を強く裏切るような「特段の事情」が必要である。 第1 事案の概要:国(上告人)が滞納処分として不動産を差し押さえた際、当該不動産は登…
事件番号: 昭和34(オ)1280 / 裁判年月日: 昭和36年10月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不動産の二重譲渡において、第一の譲受人は、自らが未だ所有権移転登記を備えていない以上、第二の譲受人に対して所有権の取得を対抗することができない。これは、第二の譲受人の有する登記が有効であるか否かを問わない。 第1 事案の概要:上告人は、本件不動産を譲り受けたと主張しているが、未だその所有権取得の登…
事件番号: 昭和32(オ)934 / 裁判年月日: 昭和35年3月31日 / 結論: 破棄自判
登記簿上不動産の所有名義人となつている国税滞納者に対する滞納処分として右不動産を公売処分に付した国が、登記の欠缺を主張するにつき正当の利益を有する第三者にあたらないとされる場合には、公売処分は、目的不動産の所有権を競落人に取得させる効果を生じないとする意味において、無効と解すべきである。