判旨
当事者が申請した本人尋問が唯一の証拠方法であるとの主張は、同一の待証事項について他の証人尋問が行われている場合には認められない。
問題の所在(論点)
特定の待証事項(本件では悪意の抗弁)について、既に他の証人尋問が行われている場合に、当事者本人の尋問が「唯一の証拠方法」に該当し、裁判所にその取調べ義務が生じるか。
規範
裁判所が証拠調べをするか否かは、原則として裁判所の裁量に属する。もっとも、その証拠が唯一の証拠方法である場合には、特段の事情がない限り、裁判所はこれを取り調べる義務を負う。ここでいう「唯一の証拠方法」とは、特定の待証事項を立証するために申請された唯一の証拠を指し、他の証拠調べが既に行われている場合にはこれに当たらない。
重要事実
上告人らは、原審において「悪意の抗弁」を立証するために本人尋問を申請した。しかし、原審は既に同じ悪意の抗弁について、上告人らの申請に基づき証人Dおよび証人Eの尋問を実施していた。上告人らは、本人尋問こそが唯一の証拠方法であると主張して上告した。
あてはめ
本件において、上告人らは悪意の抗弁を立証しようとしているが、記録上、既に証人Dおよび証人Eに対する尋問が実施されていることが明らかである。したがって、本人尋問は当該抗弁に関する唯一の証拠方法とはいえない。また、新聞広告の提出機会が与えられなかったという主張も、記録上認められない。
結論
本人尋問は唯一の証拠方法には当たらないため、原審がこれを行わなかったことに違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
民事訴訟法における証拠決定の裁量と、その例外としての「唯一の証拠方法」の概念を確認する際に用いる。実務上、本人尋問を唯一の証拠として主張するためには、同一の争点について他の人的証拠や書証が存在しないことが前提となることを示唆している。
事件番号: 昭和38(オ)1238 / 裁判年月日: 昭和39年4月3日 / 結論: 棄却
当事者が証人および当該当事者本人の尋問を申請したが、二度にわたり指定した右証拠調を行うべき口頭弁論期日に右両名とも出頭せず、また、二度目の口頭弁論期日には右当事者の訴訟代理人も出頭せず、その不出頭の理由を釈明したなんらの書面の提出もなかつたときは、右証人および当事者本人の尋問が右当事者主張の抗弁事実立証のための唯一の証…