判旨
建物賃貸借が一時使用のためのものである場合には、借家法(現借地借家法40条)の適用が排除され、期間の満了によって当然に契約が終了する。
問題の所在(論点)
建物賃貸借契約が一時使用のためのものと認められる場合に、更新拒絶の制限等を受けることなく期間満了によって当然に契約が終了するか(旧借家法の適用除外の成否)。
規範
建物賃貸借が一時使用を目的とするもの(借地借家法40条、旧借家法趣旨)と認められる場合には、存続期間の保障や更新拒絶の正当事由に関する規定は適用されない。その判断にあたっては、賃貸借の目的、期間の設定、賃料の額、建物の種類・構造、契約に至る経緯等の諸般の事情を総合考慮し、短期間の利用に限定する合意の客観的合理性の有無によって決する。
重要事実
本件における建物賃貸借契約の具体的な締結経緯、建物の用途、具体的な期間、賃料等の詳細は判決文からは不明であるが、原審において「一時使用のためのもの」と事実認定された。上告人は、契約が解除により終了したと主張したが、原審は期間満了により終了したと判断している。
あてはめ
原審の適法な事実認定によれば、本件契約は一時使用のためのものである。一時使用目的の賃貸借においては、期間の定めのない賃貸借への法定更新等の規定は適用されないため、あらかじめ定められた期間の満了をもって契約が終了したとする判断は正当である。契約解除の成否を論ずるまでもなく、期間満了という事実によって賃貸借の終了という法的効果が発生しているといえる。
結論
本件契約は一時使用のための賃貸借であり、期間の満了により終了した。上告を棄却する。
実務上の射程
借地借家法40条(一時使用目的の借家)の成否が争点となる事案において、期間満了による終了を主張するための根拠となる。答案上は、一時使用の認定基準(主観的動機だけでなく客観的合理性が必要である点)を論じた上で、本判決が「期間満了による終了」を肯定した点に注目して使用する。
事件番号: 昭和28(オ)797 / 裁判年月日: 昭和30年5月13日 / 結論: 棄却
原判決認定の事実(第二審判定理由参照)に基く社宅の使用関係については、借家法の適用はないと解すべきである。