判旨
控訴審において、当事者双方が第一審判決の事実摘示のとおり第一審口頭弁論の結果を陳述した場合、当該摘示内容に基づく事実の認定に違法はない。したがって、第一審で自白の成立が認められた事実は、控訴審においても争いのない事実として扱うことができる。
問題の所在(論点)
第一審で一度認めた事実について、控訴審において「争いのない事実」として判示することが適法か。特に、第一審の陳述結果を控訴審で引用陳述した場合の自白の効力が問題となる。
規範
控訴審において、当事者双方の代理人が第一審判決の事実摘示のとおり第一審口頭弁論の結果を陳述した(民事訴訟法297条、161条2項参照)場合には、第一審の事実摘示に記載された自白等の事実は、控訴審においても当事者間に争いのない事実として拘束力を有する。
重要事実
上告人(被告)は、Dから本件不動産を昭和29年4月30日に贈与を受け、同年8月4日にその所有権移転登記を経由した。第一審判決の事実摘示には、上告人がこの贈与の事実を認める旨が記載されていた。控訴審の第1回口頭弁論において、当事者双方の代理人は、第一審判決の事実摘示のとおり第一審口頭弁論の結果を陳述した。
あてはめ
原審(控訴審)の口頭弁論調書によれば、双方代理人が第一審判決の事実摘示を引用して陳述している。第一審判決には、上告人が本件不動産の贈与を受けたことを認める旨が明記されている。そうであれば、控訴審において「当該贈与の事実は当事者間に争いがない」と判断することは、当事者の陳述内容と合致しており、何ら違法ではない。第一審での自白が控訴審においても維持されていると評価できる。
結論
昭和29年4月30日に贈与があった事実を当事者間に争いのないものとして判示した原判決に違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
控訴審における「第一審の結果の陳述」の法的意義を確認する判例である。第一審で成立した裁判上の自白は、控訴審で撤回されない限り(あるいは撤回可能な事由がない限り)、引用陳述によって控訴審の判断の基礎となる。実務上、第一審判決の事実摘示に誤りがある場合は、控訴審の冒頭でその旨を明確に指摘し、引用陳述の範囲を限定する必要がある。
事件番号: 昭和28(オ)1422 / 裁判年月日: 昭和32年7月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】詐害行為取消権における受益者の善意の認定について、売買に異常性が認められず、悪意を推認すべき明確な事実がない限り、原審の証拠評価に基づく善意の認定は適法である。 第1 事案の概要:債権者(上告人)が、債務者と受益者(被上告人)との間で行われた売買について、詐害行為であるとしてその取消しを求めた事案…