判旨
調停の内容をなす契約関係において債務不履行がある場合、調停という形式をとっていても、相手方は当該契約を解除することができる。
問題の所在(論点)
調停条項によって定められた契約関係において債務不履行があった場合、その調停内容をなす契約を解除することができるか。
規範
調停は当事者間の合意を基礎とするものであるから、その内容をなす契約関係については、特段の事情がない限り、一般の契約と同様に債務不履行を理由とする解除を認めるべきである。
重要事実
上告人と被上告人の間には、建物の明渡しと借入金債務の分割払いに関する調停条項が成立していた。この内容は、上告人が分割払いの履行を完了すれば建物の所有権が上告人に復帰して明渡しの必要がなくなるが、不履行があれば所有権は復帰せず、建物を被上告人に明け渡さなければならないという関係にあった。その後、上告人に債務不履行が生じたため、被上告人が解除の意思表示をした。
あてはめ
本件調停条項において、建物の明渡しと借入金債務の分割払いは密接に関連しており、実質的に対価的・条件的な契約関係を形成している。上告人が分割払いの履行を怠ったことは、本件調停の内容をなす契約関係における債務不履行に該当する。したがって、調停という形式であっても、その実体である契約関係は被上告人の解除の意思表示によって消滅したものと評価できる。
結論
調停の内容をなす契約関係は解除可能であり、債務不履行を理由とした被上告人の解除は有効である。
実務上の射程
裁判上の和解や調停は確定判決と同一の効力を有するが、その実体法上の性質に基づき、債務不履行による解除が認められることを示した。答案上は、訴訟上の合意の実体法的側面を論ずる際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和32(オ)995 / 裁判年月日: 昭和36年11月7日 / 結論: 棄却
一 賃貸家屋の明渡を求める調停の申立は、特別の事情がないかぎり、その申立の理由いかんを問わず、当該家屋を目的とする賃貸借契約についての解約の申入の意思表示を伴うものと解すべきである。 二 家屋の賃貸人が歯科医師で、明渡を求めている家屋以外に家屋を所有せず、現在使用している住宅及び診療所の明渡を求められている等(原判決理…