判旨
訴訟において「請求減縮の申立」と題する書面が提出された場合、それが訴えの取下げか請求の放棄かは、書面の趣旨を合理的に解釈して判断すべきであり、必ずしも一律に訴えの取下げと解されるわけではない。
問題の所在(論点)
訴訟上の「請求減縮」の申立てがなされた場合、その法的性質をどのように解釈すべきか。特に、常に訴えの一部取下げとして扱うべきか、あるいは請求の放棄として扱う余地があるかが問題となる。
規範
請求の減縮がなされた場合、その法的性質が訴えの一部取下げ(民事訴訟法261条)か、あるいは請求の一部放棄(同法266条)かは、申立ての形式的名称にかかわらず、当事者の合理的意思解釈を通じて判断される。請求の放棄としての実体を備える場合には、これを適法な放棄として扱うことができる。
重要事実
被上告会社が原審の口頭弁論期日において「請求減縮の申立」と題する書面を陳述した。原審は、当該陳述の内容を審理した結果、審判の要求を撤回する「訴えの取下げ」の趣旨ではなく、実体的な権利主張を断念する「請求の放棄」の趣旨であることを確認し、その旨を調書に記載させた。
あてはめ
本件において、原審は「請求減縮の申立」という名称にかかわらず、直ちにその真意を審理している。その結果、単なる訴訟追行の撤回ではなく、権利自体の放棄を意味する「請求の放棄」であると確認した。この判断は当事者の意思に合致する合理的な解釈であり、適法有効な請求の放棄として扱った点に違法はない。また、請求の放棄は申立人(被上告人)に不利益な陳述であるため、相手方がこれを不当として争う理由は認められない。
結論
請求の減縮が請求の放棄の趣旨であると認められる場合には、これを確認して適法な請求の放棄として処理することが認められる。
実務上の射程
司法試験においては、請求の減縮がなされた際の処分権主義の現れとして、取下げと放棄の区別を論じる際に参照し得る。特に、当事者の意思解釈において形式的な書面名よりも実質的な意思を重視する実務上の態度を示す判例として重要である。
事件番号: 昭和32(オ)1115 / 裁判年月日: 昭和33年3月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】口頭弁論期日において請求の趣旨を減縮する旨の申立てがなされた場合、裁判所がその減縮された範囲内で給付を命じることは適法である。 第1 事案の概要:被上告人は、原審(昭和32年8月15日)の口頭弁論期日において、当初の請求のうち金銭給付の点について請求の趣旨を減縮した。原審は、この減縮後の内容に基づ…