判旨
自作農創設特別措置法に基づく農地の買収処分は、憲法14条、29条、98条に違反せず、また公序良俗に反して無効となることもない。
問題の所在(論点)
自作農創設特別措置法に基づく農地買収処分が、憲法14条(平等原則)、29条(財産権)、98条(憲法の最高法規性)に反して違憲とならないか、また民法90条(公序良俗)に反して無効とならないか。
規範
自作農創設特別措置法及びその附属法令に基づく農地買収処分は、公共の福祉(憲法29条2項)に適合する適法な制度であり、平等原則(憲法14条)や財産権の保障(憲法29条)に反しない。また、同法に基づく適法な行政処分が公序良俗(民法90条)に反すると解すべき根拠は存在しない。
重要事実
上告人に対し、自作農創設特別措置法3条に基づき農地買収処分がなされた。上告人は、同法が憲法98条、14条、29条等に違反し無効であること、また、当該買収処分後の事情を考慮すべきこと、さらに処分が民法90条の公序良俗に反すること等を主張して、処分の適法性を争った。
あてはめ
まず、憲法適合性については先行する大法廷判決の趣旨に照らし、同法が憲法14条、29条等に違反しないことは明らかである。次に、買収処分後の事実については処分の適否に影響を及ぼさない。さらに、同法に基づく行政処分が公序良俗に反するという主張には法的根拠がなく、私法上の無効事由を類推・適用する余地はない。
結論
本件農地買収処分は憲法および民法90条に違反せず、適法である。
実務上の射程
自作農創設特別措置法に関する合憲性を確認した一連の判例の一つ。行政処分の違法性を争う場面において、処分後の事情は原則として処分の適法性に影響しない点や、行政処分に対して私法上の公序良俗違反を主張することの困難さを示す素材として活用できる。
事件番号: 昭和32(オ)577 / 裁判年月日: 昭和36年1月25日 / 結論: 棄却
一 昭和二五年政令第二八八号第二条第一項本文かつこ内の規定が、自作農創設特別措置法によつて売渡を受けた農地等を自ら耕作することをやめた場合等について、農業に精進する見込のある者がない場合に、その農地を政府に譲渡せしめることにしているのは憲法第二九条第三項に違反しない。 二 昭和二五年政令第二八八号施行令第一四条で定める…
事件番号: 昭和34(オ)655 / 裁判年月日: 昭和35年3月25日 / 結論: 棄却
人権に関する世界宣言に違反するという上告理由は法令違背を理由とするものではない。
事件番号: 昭和38(オ)1308 / 裁判年月日: 昭和40年7月16日 / 結論: 棄却
農地の譲渡について農地調整法による知事の認可のあつたことは、自作農創設特別措置法第六条の二によつて右農地に対する遡及買収をすることを妨げるものではない。
事件番号: 昭和26(オ)669 / 裁判年月日: 昭和29年3月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分の無効を前提とする所有権確認訴訟は私法上の権利関係に関する訴訟であり、自作農創設特別措置法に基づく買収対価は憲法29条3項の「正当な補償」に当たる。 第1 事案の概要:上告人らが、本件農地についての所有権確認を求めて提訴した事案である。上告人らは、その請求の理由として、国による本件農地の買…