判旨
住居侵入罪に罰金刑を科す際、罰金等臨時措置法の規定による上限額を超えた金額を科した略式命令は、法令の適用に誤りがあり被告人に不利益なものとして破棄されるべきである。
問題の所在(論点)
住居侵入被告事件において、罰金刑を選択しながら当時の法定刑の上限額(2500円)を超える罰金(3000円)を科した略式命令の適否が問題となる。本件は確定判決の法令違反を是正する「非常上告」の手続きにおいて審理された。
規範
刑法130条の住居侵入罪につき、罰金等臨時措置法2条1項、3条を適用して罰金刑を選択する場合、裁判所はその法定刑(罰金刑の多額)の範囲内で刑を科さなければならない。法定の上限を超えた金額を科すことは法令違反となる。
重要事実
被告人は昭和38年2月24日、他人の宅地内に不法に侵入した。これに対し、松戸簡易裁判所は刑法130条等を適用し、罰金刑を選択した上で被告人を罰金3000円に処する旨の略式命令を発し、当該命令は確定した。しかし、当時の住居侵入罪に科し得る罰金刑の最高額(罰金等臨時措置法適用後)は2500円であった。
あてはめ
本件における住居侵入罪の事実に適用されるべき罰金等臨時措置法等の規定に照らすと、科し得る罰金刑の多額は2500円である。それにもかかわらず、原略式命令は被告人に対し罰金3000円を科した。これは、当該犯罪につき許容される罰金刑の範囲を逸脱して多額の刑を科したものであり、判決に法令の適用の誤りがあるといえる。
結論
原略式命令を法令違反として破棄する。被告人を改めて罰金2500円に処し、完納できない場合の労役場留置を命じる。
実務上の射程
裁判所が法定刑の範囲を誤って刑を言い渡した場合の救済(非常上告)に関する先例。司法試験の答案作成においては、罪刑法定主義(法律主義)に基づき、裁判所は法律の定める刑罰の範囲内でしか刑を科せないという当然の理を確認する際に参照される。
事件番号: 昭和38(さ)12 / 裁判年月日: 昭和39年3月6日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】住居侵入罪の罰金刑の最高額が法令上2,500円であるにもかかわらず、これを超過する5,000円の罰金を科した略式命令は、法令違反であり被告人に不利益であるため、非常上告に基づき破棄されるべきである。 第1 事案の概要:被告人は昭和29年1月、情交目的で他人の居宅内に侵入した。角舘簡易裁判所は、住居…
事件番号: 昭和36(さ)1 / 裁判年月日: 昭和36年11月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】略式命令において法定刑の最高額を超過する罰金を科したことは、法令に違反し、かつ被告人に不利益であることが明らかであるため、非常上告に基づき当該命令を破棄し、適正な刑を科すべきである。 第1 事案の概要:被告人は住居侵入の事実により、簡易裁判所の略式命令にて罰金3,000円(不完納時労役場留置1日2…