判旨
裁判所が住居侵入罪に対し法定刑の上限を超える罰金刑を科した場合、法令違反があり被告人に不利益であるため、非常上告により原略式命令を破棄し自判すべきである。
問題の所在(論点)
住居侵入罪に対して法律の定めた上限額を超える罰金刑を科した確定判決(略式命令)の効力、および非常上告における救済の可否。
規範
確定判決が法令に違反したときは非常上告の対象となる(刑訴法405条等)。特に、科された刑罰が法律の定める上限(多額)を超えている場合は、被告人の不利益となる「法令の違反」(刑訴法458条1号但書)にあたり、裁判所は原判決を破棄した上で、自ら正しい量刑を言い渡さなければならない。
重要事実
被告人は性交目的で他人の寝室に侵入した住居侵入の罪により、昭和37年1月19日に罰金5,000円の略式命令を受け、同年2月3日に確定した。しかし、当時の刑法130条および罰金等臨時措置法3条1項に基づくと、住居侵入罪に科し得る罰金の最高額は2,500円であった。
あてはめ
本件における住居侵入罪の法定刑の上限は2,500円である。これに対し、原略式命令が被告人に5,000円の罰金を科したことは、科し得べき罰金刑の多額を超えた違法な量刑である。この違反は被告人にとって明らかに不利益なものであるため、刑事訴訟法458条1号但書の規定を適用し、原略式命令を破棄して改めて適正な刑を科すべきである。
結論
原略式命令を破棄する。被告人を、法定刑の範囲内である罰金2,500円に処する。
実務上の射程
本判決は量刑の法的上限を超えた場合の非常上告手続の運用を示す。司法試験実務上は、非常上告の要件である「被告人の不利益」の具体例(量刑の錯誤)として理解すべきである。
事件番号: 昭和38(さ)12 / 裁判年月日: 昭和39年3月6日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】住居侵入罪の罰金刑の最高額が法令上2,500円であるにもかかわらず、これを超過する5,000円の罰金を科した略式命令は、法令違反であり被告人に不利益であるため、非常上告に基づき破棄されるべきである。 第1 事案の概要:被告人は昭和29年1月、情交目的で他人の居宅内に侵入した。角舘簡易裁判所は、住居…
事件番号: 昭和36(さ)1 / 裁判年月日: 昭和36年11月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】略式命令において法定刑の最高額を超過する罰金を科したことは、法令に違反し、かつ被告人に不利益であることが明らかであるため、非常上告に基づき当該命令を破棄し、適正な刑を科すべきである。 第1 事案の概要:被告人は住居侵入の事実により、簡易裁判所の略式命令にて罰金3,000円(不完納時労役場留置1日2…