判旨
住居侵入罪の罰金刑の法定最高額を超える刑を科した略式命令は、法令に違反し被告人に不利益であることが明らかであるため、非常上告に基づき破棄されるべきである。
問題の所在(論点)
住居侵入罪により確定した略式命令において、法定刑の最高額(2,500円)を超える罰金(3,000円)を科したことが、非常上告により破棄されるべき「法令の違反」および「被告人のため不利益」に該当するか。
規範
確定判決が法令に違反しているときは、検事総長は最高裁判所に非常上告をすることができる(刑訴法454条)。特に、宣告された刑が法定刑の上限を超過している場合は、刑の量定の誤りが法令の違反に該当し、かつ被告人のため不利益であることが明白であるといえる(同法458条1号但書)。
重要事実
被告人は住居侵入の事実により、簡易裁判所から罰金3,000円の略式命令を受け、これが確定した。しかし、当時の刑法130条および罰金等臨時措置法3条1項1号の規定によれば、住居侵入罪における罰金刑の法定刑の最高額は2,500円であった。
あてはめ
本件略式命令は、被告人の住居侵入の事実を認定して罰金3,000円を科している。しかし、法令上の上限は2,500円である。したがって、上限を500円超過して刑を科したことは、明らかに適用すべき法令の範囲を逸脱しており、法令違反を構成する。また、法定刑の範囲を超えてより重い刑を科されている以上、被告人にとって不利益であることは明白である。
結論
原略式命令を破棄する。被告人を罰金2,500円に処し、不完納の場合の労役場留置を定める。
実務上の射程
法定刑の誤認という明らかな法令違反がある場合、非常上告の手続きによって最高裁判所が直接判決を是正できることを示す。実務上は、略式命令の告知・確定プロセスにおける形式的な計算ミスや条文適用の誤りに対する最終的な救済手段としての射程を有する。
事件番号: 昭和38(さ)12 / 裁判年月日: 昭和39年3月6日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】住居侵入罪の罰金刑の最高額が法令上2,500円であるにもかかわらず、これを超過する5,000円の罰金を科した略式命令は、法令違反であり被告人に不利益であるため、非常上告に基づき破棄されるべきである。 第1 事案の概要:被告人は昭和29年1月、情交目的で他人の居宅内に侵入した。角舘簡易裁判所は、住居…
事件番号: 昭和36(さ)1 / 裁判年月日: 昭和36年11月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】略式命令において法定刑の最高額を超過する罰金を科したことは、法令に違反し、かつ被告人に不利益であることが明らかであるため、非常上告に基づき当該命令を破棄し、適正な刑を科すべきである。 第1 事案の概要:被告人は住居侵入の事実により、簡易裁判所の略式命令にて罰金3,000円(不完納時労役場留置1日2…