判旨
住居侵入罪の罰金刑の最高額が法令上2,500円であるにもかかわらず、これを超過する5,000円の罰金を科した略式命令は、法令違反であり被告人に不利益であるため、非常上告に基づき破棄されるべきである。
問題の所在(論点)
確定した略式命令において、当時の法令が定める法定刑の最高限度額(2,500円)を超過する罰金額(5,000円)を科したことが、刑事訴訟法458条1号にいう法令違反および被告人の不利益に該当するか。
規範
刑法130条前段の住居侵入罪に対し、罰金等臨時措置法3条1項1号を適用する場合、罰金刑の法定刑の最高額は2,500円である。この法定刑の範囲を超えた刑を科すことは、罪刑法定主義の要請に反する法令違反であり、刑事訴訟法458条1号但書の「被告人のため不利益であること」に該当する。
重要事実
被告人は昭和29年1月、情交目的で他人の居宅内に侵入した。角舘簡易裁判所は、住居侵入罪(刑法130条)の成立を認め、被告人を罰金5,000円に処する旨の略式命令を下し、同命令は確定した。しかし、当時の罰金等臨時措置法によれば、同罪の罰金の最高額は2,500円であった。
あてはめ
本件における住居侵入の事実に適用されるべき罰金等臨時措置法3条1項1号によれば、罰金の最高額は2,500円である。これに対し、原略式命令は5,000円の罰金を科しており、明らかに法定刑の範囲を逸脱している。このような量刑は法令の適用を誤ったものであり、被告人に法定刑以上の金銭的負担を強いる点で、被告人の不利益であることは明らかである。
結論
原略式命令を破棄する。被告人を罰金2,500円に処し、完納できない場合の留置期間を1日250円換算で定める。
実務上の射程
非常上告において、法令違反が被告人の不利益となる場合の典型例(法定刑の超過)を示す事案である。答案上では、罪刑法定主義の観点から法定刑の遵守が絶対的であることを示す際や、略式手続等における裁判の誤正手続を論じる際の参照となる。
事件番号: 昭和36(さ)1 / 裁判年月日: 昭和36年11月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】略式命令において法定刑の最高額を超過する罰金を科したことは、法令に違反し、かつ被告人に不利益であることが明らかであるため、非常上告に基づき当該命令を破棄し、適正な刑を科すべきである。 第1 事案の概要:被告人は住居侵入の事実により、簡易裁判所の略式命令にて罰金3,000円(不完納時労役場留置1日2…