輸入貨物について、当初より関税及び物品税を免れる目的をもつて虚偽の申告をして免税輸入の許可を受け、関税及び物品税を免れる罪は当該輸入貨物を保税地域より引取つたときに成立し、その後において用途外使用の申請をして関税及び物品税を納付しても一たん成立した罪が消滅することはない。
輸入貨物について虚偽の申告により免税輸入の許可を受けその後用途外使用の申請をして関税及び物品税を納付した場合における関税及び物品脱逋脱罪の成否。
関税法110条1項,関税法138条,関税定率法15条2項,物品税法18条1項,輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律7条3項,日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約3条に基づく行政協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律12条1項
判旨
当初から免税目的で虚偽の申告を行い、免税輸入の許可を受けて貨物を保税地域から引き取った時点で、関税法上の罪は成立し、その後の事後的な納税手続によって既遂に達した罪が消滅することはない。
問題の所在(論点)
虚偽の申告により免税輸入の許可を得て貨物を引き取った場合における、関税法違反等の罪の成立時期(既遂時期)および、事後的な納税による罪の消滅の成否が問題となる。
規範
関税及び物品税を免れる罪の既遂時期は、虚偽の申告に基づき免税輸入の許可を受け、当該輸入貨物を保税地域より引き取った時点である。一度犯罪が成立した以上、その後の用途外使用の申請や税金の納付という事後的な事情によって、既に成立した罪が消滅することはない。
重要事実
被告人らは、当初から関税及び物品税を免れる目的を有していた。それにもかかわらず、虚偽の申告を行うことで免税輸入の許可を受け、実際に貨物を保税地域から引き取った。その後、被告人側は用途外使用の申請を行い、免れていた関税及び物品税を納付した。
事件番号: 昭和36(あ)2714 / 裁判年月日: 昭和38年3月19日 / 結論: 棄却
一 合衆国軍隊の構成員等以外の者が、「日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律」第六条の規定の適用を受けた物品である自動車を日本国内において譲り受けようとするときは(同法第一二条第一項の適用を受ける譲受)、昭和三三年法律第六八号による改正前においても、旧物…
あてはめ
本件では、被告人らは当初から脱税目的で虚偽の申告を行っており、その結果として免税許可を得て貨物を保税地域から引き取っている。この「引き取り」の時点で脱税の実行行為は完了し、既遂に達したものと評価できる。その後になされた用途外使用の申請や納税は、既に成立した犯罪の客観的構成要件充足性を左右するものではなく、犯罪の成立を妨げる事情にはならない。
結論
貨物を保税地域から引き取った時点で関税法違反等の罪が成立し、その後の納税によっても罪は消滅しない。
実務上の射程
行政法規違反の既遂時期に関する判断を示したものである。答案上は、既遂後の情状(事後的な是正措置)が犯罪の成立自体を否定するものではないことを論証する際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和34(あ)266 / 裁判年月日: 昭和37年11月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】関税逋脱罪における没収・追徴の対象となる「犯罪に係る貨物」とは、逋脱税額に相当する一部の貨物ではなく、不実の輸入申告等によって関税の全部又は一部が免脱された対象貨物の全部を指す。 第1 事案の概要:被告人は、外国産の毛織物等(全長2,939メートル余、到着価格約816万円)を輸入する際、不実の低価…