関税法第一一八条の犯人には、同法第一一二条にいわゆる「運搬等」をした者を包含する。
関税法第一一八条の犯人には同法第一一二条にいわゆる「運搬等」をした者を包含するか。
関税法112条,関税法118条
判旨
関税法118条1項及び2項の没収・追徴の対象となる「犯人」には、無許可輸入貨物であることを知りながら当該貨物を運搬した者(同法112条所定の罪を犯した者)も含まれる。
問題の所在(論点)
関税法118条1項及び2項に規定される没収・追徴の対象である「犯人」に、無許可輸入の事実を知って当該貨物を運搬した者(関税法112条所定の密輸物品運搬等罪を犯した者)が含まれるか。当該規定の「犯人」の範囲が問題となる。
規範
関税法118条所定の没収及び追徴の対象となる「犯人」とは、同法111条の許可を受けないで輸入した貨物について、情を知って同法112条に規定する「運搬等」の行為をした者を包含すると解する。
重要事実
被告人は、関税法111条に基づく許可を受けずに輸入された貨物であることを知りながら、当該貨物の運搬(同法112条違反)に及んだ。第一審判決は、関税法118条1項及び2項に基づき、当該「犯罪貨物等」の没収、及び没収不能な場合の追徴を命じた。被告人は、自らが同条の「犯人」に含まれないと主張して上告した。
あてはめ
関税法118条1項は「犯罪貨物等」の没収を、同条2項は没収不能時の追徴を規定しており、その目的は犯罪に係る不正な利益の剥奪や禁制物の流通阻止にある。同法112条の運搬等の罪は、無許可輸入という先行する違法状態を維持・助長する行為である。したがって、貨物が無許可輸入されたものであるとの情を知って運搬等の行為に及んだ者は、没収・追徴の根拠となる当該犯罪に関与した者として、同条の「犯人」に当たると解される。
結論
関税法112条所定の運搬等の罪を犯した者は、同法118条の「犯人」に含まれるため、当該貨物の没収・追徴を受ける。
実務上の射程
本判決は、関税法上の没収・追徴の対象となる「犯人」の範囲を、密輸入の実行犯(111条)のみならず、その後の流通に関与した運搬者(112条)にも広げることを明示したものである。答案作成上は、必要的没収・追徴の規定が準用・適用される範囲を検討する際の解釈指針として活用できる。
事件番号: 昭和38(あ)1083 / 裁判年月日: 昭和39年10月30日 / 結論: 棄却
一 他人の依頼により関税法第一一二条第一項の犯罪貨物の処分の媒介をした者が、その後その処分により該貨物を取得した者の依頼によりこれを他に運搬した場合には、媒介罪のほかに運搬罪が成立する。 二 関税法第一一八条第二項による追徴をする場合に、犯罪貨物を取得した第三者を訴訟手続に参加させなくても、憲法第三一条、第二九条に違反…
事件番号: 昭和37(あ)1866 / 裁判年月日: 昭和39年7月1日 / 結論: 棄却
一 法人の代表者に対する関税法違反被告事件において、同法第一一八条第一項により、第三者たるその法人所有の犯罪貨物を没収するにあたつては、被告人に対して犯罪事実に関する弁解、防禦の機会が与えられているかぎり、改めてその法人に対してこれらの機会を与えることを要しない。 二 関税法第一一八条第二項にいわゆる犯人とは、犯罪貨物…
事件番号: 昭和34(あ)126 / 裁判年月日: 昭和38年5月22日 / 結論: 棄却
関税法第一一八条にいわゆる犯人には、行為者のみならず、いわゆる両罰規定により処罰される法人または人をも包含するものと解するのを相当とする。