鉄道公安職員は、日本国有鉄道法第三四条第一項により法令により公務に従事する者とみなされ、犯罪捜査のほか、鉄道公安職員基本規程により、鉄道業務の円滑な遂行のためこれを侵害するものを排除するなど警備的職務に従事するものであるから、その職務の執行にあたり、これに対して暴行を加えたときは、公務執行妨害罪が成立するものと解するのが相当である。
鉄道公安職員に対する暴行と公務執行妨害罪の成立。
刑法95条,刑法7条,日本国有鉄道法34条1項,日本国有鉄道法32条,日本国有鉄道法2条,日本国有鉄道法3条,鉄道公安職員の職務に関する法律1条,鉄道公安職員の職務に関する法律8条,鉄道公安職員基本規程(昭和24年2月18日総裁達466号)3条,鉄道公安職員基本規程(昭和24年2月18日総裁達466号)5条
判旨
鉄道公安職員は法令により公務に従事する者とみなされ、犯罪捜査のみならず鉄道業務の円滑な遂行を確保するための警備的職務も「公務」に含まれる。したがって、当該職務の執行中に暴行を加えた場合には公務執行妨害罪が成立する。
問題の所在(論点)
鉄道公安職員が行う警備的職務が、刑法95条1項に規定される「公務員が職務を執行する」際の「職務(公務)」に該当するか。
規範
刑法95条1項の「公務」とは、公務員がその職務権限に基づいて行う適法な職務執行を指す。また、特別法により公務に従事する者とみなされる者が、規定された権限に基づき、特定の目的(鉄道業務の円滑な遂行等)のために行う警備的職務も、同条にいう職務執行に含まれる。
重要事実
被告人が鉄道公安職員に対して暴行を加えた事案。鉄道公安職員は、当時の日本国有鉄道法34条1項に基づき法令により公務に従事する者とみなされており、犯罪捜査のほか、鉄道公安職員基本規程に基づき鉄道業務の円滑な遂行を侵害するものを排除するなどの警備的職務に従事していた。被告人は当該職務に従事している職員に対し暴行を及ぼした。
あてはめ
鉄道公安職員は、日本国有鉄道法34条1項により法令上公務に従事する者とみなされる法的地位にある。その職務内容は犯罪捜査に限定されず、基本規程に基づき鉄道業務の円滑な遂行を確保するために障害を排除する警備的職務も含まれる。被告人がこのような警備的職務に従事している職員に対して暴行を加えたことは、公務員の適法な職務執行を妨害したといえる。
結論
鉄道公安職員の警備的職務は刑法95条1項の公務にあたり、これに暴行を加えた以上、公務執行妨害罪が成立する。
実務上の射程
「みなし公務員」や特殊な職務権限を持つ者の職務範囲が問題となる場面で、根拠法令や規程に基づき、その職務が公共の利益を目的とするものである限り広く「公務」に含まれることを示す論拠として活用できる。
事件番号: 昭和53(あ)549 / 裁判年月日: 昭和54年1月10日 / 結論: 棄却
国鉄の気動車運転士が急行列車の運転室内で中継駅の運転士と業務の引継・交替を行い、運転当直助役の許に赴いて終業点呼を受けるため駅ホームを歩行していた際、右運転士に対して加えられた本件暴行は、公務執行妨害罪を構成する。
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事件番号: 昭和57(あ)1805 / 裁判年月日: 昭和59年5月8日 / 結論: 棄却
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