判旨
判決時において少年に該当する被告人に対し、少年法52条1項所定の不定期刑を科さず、成人と同様の定期刑を科した原判決には、判決に影響を及ぼすべき明白な法令の違反がある。
問題の所在(論点)
判決時において少年に該当する被告人に対し、少年法52条1項を適用せず定期刑を科した判断が、刑事訴訟法411条1号の「判決に影響を及ぼすべき明白な法令の違反」であって「破棄しなければ著しく正義に反するもの」と認められるか。
規範
少年法52条1項の適用対象となる少年(20歳未満の者)に対し、刑を科す場合には、同条項に基づき不定期刑を科さなければならない。判決時において少年に該当するにもかかわらず、これを成人と誤認して定期刑を科した場合は、同条項の適用を誤った法令違反(刑事訴訟法411条1号)にあたり、著しく正義に反するものとして破棄を免れない。
重要事実
被告人は昭和19年11月25日に出生した者であり、原審(昭和39年当時)の判決時において、いまだ20歳に達しておらず、少年法上の少年に該当する状態であった。しかし、原審(大阪高等裁判所)は第一審判決を破棄して自判するにあたり、被告人が既に成年に達しているものと誤認し、少年法52条1項を適用せずに懲役1年6月の実刑(定期刑)を言い渡した。
あてはめ
記録上、被告人が昭和19年11月25日生まれである事実に照らせば、原審判決時において被告人は少年であったことが明らかである。それにもかかわらず、原審が被告人を成人として扱い、少年法52条1項所定の不定期刑ではなく定期刑を科したことは、本来適用すべき法令の不適用という明白な過誤がある。このような少年保護の根幹に関わる法令違反は、判決の結論に直接的な影響を及ぼしており、これを是正せずに判決を維持することは著しく正義に反すると解される。
結論
原判決を破棄し、少年法52条1項を正しく適用させるため、本件を大阪高等裁判所に差し戻す。
実務上の射程
刑事訴訟法411条各号に基づく職権破棄の典型例(適用法令の誤り)を示す。被告人の年齢という客観的事実の誤認に基づく法令の不適用が、上告理由に該当しない場合であっても最高裁による職権破棄の対象となることを確認する意義がある。答案上は、少年に対する不定期刑の必要的性質を強調する文脈で活用できる。
事件番号: 昭和22(れ)121 / 裁判年月日: 昭和22年12月11日 / 結論: 棄却
一 訴訟記録に丁數の記載がなく、丁數の記載が連續を缺き、又は丁數を訂正した個所に作成者の認印及び字數の記載がなくても違法ではない 二 少年法第八條の少年であるかどうかは、判決言渡の時の年齡を標準として定めるべきもので、犯罪の時の年齡を標準とすべきではない。 三 檢事が附帶控訴をした場合においては、控訴の理由が少年法の適…
事件番号: 昭和26(さ)4 / 裁判年月日: 昭和27年12月11日 / 結論: 破棄自判
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